教育熱心と教育虐待の境界   

子どもの中学受験の面倒を見ていると、これは「教育虐待」に地続きの世界だなという感じることがある。

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親が「子どものため」に世話をするのはごく当たり前のことで、たとえば食事をちゃんと作ることだって変わりはないわけだが、そこにはやはり何らかのニュアンスの違いがあると思う。

ごはんの支度をするというのは親なら誰でもすることで、
中学受験はしないほうが多数派だというのがひとつ。

おいしいごはんというのは何か目に見える成果を求めている行為ではないけれど、
中学受験というのは成果を出そうとしているというのがもうひとつ。

そして「成績」「偏差値」「学校ランキング(!?)」みたいなわかりやすく物差しがあるフィールドっていうところが決め手かなぁ??

世の中にはたいへん気の利いたお子さんもいて、親は塾の月謝を払いさえすればあとは自主的に着々と学習を進めてくれるということもあるだろうけれど、大方の子どもは、ほどほどのやる気とほどほどの段取り能力しか持っていないわけで、そこはさすがに亀の甲より年の劫、親が何らかの介入をしたほうがうまくやれるってことは多い。

親が手をかける→ちょっとうまくいく
もっと手をかける→もっとうまくいく

というあたりまではしばしば実現してしまう。しかし、親が完璧サポートしたら子どもが最難関に行けるように思うのはたいていの場合錯覚なんだけどね。子どものポテンシャルでだいたいのラインは定まっているもので、親ができるのなんてせいぜい目に見える障害を取り除いて本来のポテンシャルを発揮させることくらいなのだ。

親がどのくらい「錯覚」したままのっぴきならないところまで突っ走れてしまうかは子どもの素質による。いっそ子どもがぜんぜん箸にも棒にもかからないくらいだと(^^;; 教育虐待の重症化も起こりにくいんだけど、期待が膨らんだあとに軋みが出てくるとね。

私は自分が「教育虐待」をされたのではないと書いたけれど、自分が子どもにそういうことをする危険は大いにあると感じていたので、極力その道に踏み込まないように気をつけようと思った。

子どもを三人産んだのも、自分が一人っ子で逃げ場がなかった体験から来た部分がある。実際、一人の子どもに集中できないので、他の子のあれこれに気が逸れてるうちに「まぁいいや」という気分になりやすく、一定の予防効果はあったように思う。けどどうもいろんな事例を見ると、子どもが複数いるからって安全じゃないらしい。ある子だけに過剰な期待をかけ、別の子はわりと放置なんてこともあるみたいですね。

あと、親が子どものこと以外に関心を持ってない状況はたいへん危険なので、仕事とか趣味とか、とにかく自分が人生でどれだけ「やれてる(?)」かという感触は子どもの出来不出来とは別のところに存在する、というふうにしておこうとした。

たぶん、この二点目というのはむちゃくちゃ本質的なことで、要するに子どもがわが人生じゃないってこと…実際、子どもたちの受験を三回経験して思ったのが、私はいわゆる「教育虐待」の典型例にはハマりにくいということだ。それの主な理由は、なんというか「上」を目指してないってことで、私はある意味かなり熱心だったとは思うんだけど、少しでも「上」の偏差値をとってほしいとか「上」の学校に行ってほしいという気持ちがなく、本人にとって「ちょうどよく」居心地のいい学校へ、できれば受験勉強についても「やりきった」感触を持って入学してほしいと思っていた。つまり、子どもの幸せ追求ということでは贅沢でこだわりを持っていたけれど、「一番」とか「最難関」ということには価値を置いていなかった。

「追いつめる親」を読んで思ったのは、確かに私が「上」志向じゃなかったことは、ひとつの好条件ではあったかもしれないけれど、それで安全ともいえなかったということだ。

本の中では「子供を追い詰める「約束」」「理性の皮を被った勘定」という項目に書かれていることが大きなポイントなんだけど、要するに

・現状の問題点について「話し合う」
・「約束」をさせる。生活の条件とか、勉強の仕方とか。
・子どもが「約束」を破る
・叱る(子どもが約束を破ったから、叱らなくてはいけないという理性の形をとって)

という一連の流れ。これはまさに「教育熱心」と「教育虐待」が地続きのところなのであって、カタチだけでいえばその両者は共通している。私は上昇志向ではなかったかもしれないけれど、「きちんと」勉強をするということを体験させたいとは思っていたわけで、それはいつでも「あっち側」に転がる可能性を孕んでいた。

「こっち側」と「あっち側」の分水嶺はどこにあるのか…(まだつづく)

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by an-dan-te | 2015-07-26 11:13 | 中学受験

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