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「あなたのため」は呪いの言葉!?   

ネグレクトの挙句、子どもを餓死させてしまうような親は論外だけど、「あなたのためよ」といいつつ親の価値観でがんじがらめにしていくのもそれはそれで怖い。肉体は死ななくても魂の殺人である場合も。

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おおたとしまささんが書いた「追いつめる親」という本は、今までの名門校アゲ路線から考えるとずいぶん毛色が違う。えー、おおたさんってそっち側(光と影の、影のほう)にも詳しいの?? とか失礼なことを考えながらページを開いたが…

最初に出てきた事例を読んでさっそく「ぐ」と詰まる。
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千佳さんが高校生になると、さすがに勉強のことをとやかく言うことはできなくなる。しかし母親はさらに干渉を強めた。理由が何かは忘れたが、とにかく毎日約3時間は怒鳴られた。精神的な成長に伴って親を必要としなくなっていく千佳さんを、なんとか自分の管理下にとどめたいという気持ちだったのだろう。ただし、本人の意志でそうしているのではない。無意識でそうしてしまうのだ。
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これ、まったく私と私の母の状況と同じ。何か些細なきっかけでお説教が始まり罵倒となり、最低2時間はかかるコース。双方泣きわめき、母が「あんたは冷たい子だ。将来かならず私を捨てるだろう」というフレーズで〆になるのがお決まり。

きっかけはやはり些細なことすぎて忘れたが、なにしろ私は品行方正(笑)とはいわないまでも、親にそんなに怒られるようなことは何もしていない。繁華街で遊ぶでもなく酒もたばこもやらないし、家と学校と本屋を往復しているだけの地味な子だったものね。子を持って知る親の恩、という言葉があるけど私の場合は、子を持って改めて思ったのが「怒られるようなことは何もしてなかったぞ」ということである。

とにかく母としては、私が母の価値観からはみ出していくこととか、母より友だちに打ち明けるようになったこととか、そういうのがたまらなく嫌だったんだろうと思う。「嫌」というと柔らかすぎる言葉で、むしろ世界が崩れ落ちるような痛みだったのかもしれない。

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父親は見てみぬふりだった。千佳さんが助けを求めると、「ごめんな。大人になるまで我慢してくれ。大人になったらお母さんの気持ちもわかるよ」と言われた。両親の仲は、悪くはなかった。
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ここもそっくり。私は大学生になったころ、うちの状況は異常だという確信を持つようになり、大学の公衆電話から会社にいる父に電話をかけて助けを求めたが、父は「二人で話し合って解決してくれ」と言うだけで何も助けてくれなかった。父は母にも私にも十分な愛情を持っていたとは思うが、その二人の関係がこじれて虐待に発展していても、そこに分け入ってくる勇気はなく、見れども見えずを貫いていた。

そんな具合で、この本はなかなか心穏やかでは読めなかったのだが、読み終わって思ったのは、私が受けたのはこの本で取り上げられているような「教育虐待」ではないということ。親の価値観の押しつけという面では同じなんだけれども、やはり何か歪みの性質が違うような気がする。

母は、私が「世間的に恥ずかしくない」学歴を身に着け、そして24歳くらいまでに(笑)嫁き遅れず結婚することを望んでいたが、なにしろピアノ科出身でもあるし、いわゆる難関大のランキングというものはあまり知らず、関心がなかった。母にとっちゃ東大早大慶大上智ICUその他、じっぱひとからげでノープロブレムというくくりであったと思われる。だからたとえば、私の駿台での成績が多少上がろうが下がろうが、そのことについては別に何も言われたことはない。

母は、私が母と違う好みや考え方を持った人間であるとか、成長して母から離れていくとか、そのこと自体が許せなかったので、もちろんそれじゃ私にはどうしようもないわけだけれども、逆にいうと、私は何か努力をして母の意向に沿うようにするという道が断たれているので、母の価値観に沿って長年がんばってしまうというようなことはできなかった。

そのことは幸いなことだった…!?

教育虐待の場合は、「あなたのため」といって勉強をさせる、重圧をかける、仮に同じ程度のことをしても、それでやれてしまって大学まで行けてしまう、あるいは大人になってしまうという場合もあれば、途中で押しつぶされてしまう場合もあるけれど、とにかく子どもの側が一生懸命努力して「上」を目指すことによって、少し後まで破綻せず突っ走ることができるというのが曲者だ。

そして、その限りにおいては、子どもの教育においてむしろ成功した、「成果」を出した親ということになる。

うまくいっている間だけを見れば、単に教育熱心な「よい」親との違いは傍から見てそんなにはっきり区別できないかもしれない。

それなら教育熱心なのと教育虐待まで行くのの境目はどこなのか、どうすればそこを踏み越えないで済むのか…(つづく)

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by an-dan-te | 2015-07-21 22:26 | 中学受験 | Comments(9)

Commented by くるみ at 2015-07-22 19:22 x
親が同じことをしても、こじれない親子関係もありますよね。不思議ですよね。
子供によって受け取り方が違うというか。
相性みたいなものがあるんでしょうね。
同性同士、一人っ子は、特に難しいなあと思います。

夫は、夫の父親が教育熱心で、かなり厳しくうるさい人だったようで、わが子には何も言いません。
特に高校生になってからは一線を引いてるような気がします。
嫌だった思いが残ってるんでしょうね。

うちの子ががもし幼少期からしっかりしていて、きちんと会話ができ、利発だったら、もしかしたら私は、中学受験で(たぶんさせたと思う)追い込んでいたかもしれません。
そういう要素のある親なので。

見事に裏切ってくれて、大丈夫でした^^;
(私はいろいろ苦しかったけど)
今は、子供に対するマイナス思考をなんとかせねば、と思ってます(><)

続き、待ってます。
Commented by みさまま at 2015-07-23 19:45 x
こんばんは。娘の学校は10日に終業式、さっそく家族でタイに行ってきました。暑かったぁ~!

アンダンテさんって、お母様とそんな関係だったんですね。全く想像がつきませんでした。読んでいてちょっと辛かったです。親になってお母様の気持ちもちょっとわかるし、娘としてアンダンテさんの辛さも。
うちの親は全く干渉してきませんでした。覚えている限り「~しなさい」と言われたことはありませんでした。一浪したときも、二十歳の時1か月一人でバックパッカーでヨーロッパを旅した時も、結婚式を挙げないといったときも、仕事の関係で別居結婚する時も・・・全くもって意見をせず見守ってくれました。父の最期の言葉も「子供は最後まで好きにさせない。縛ってはいけないよ。」だったそうです。ちなみに躾は厳しかったです。お箸の持ち方が悪かったらなおるまで食事がおわらなかったり・・・。

今母親になって、そうしたことがいかに難しいか感じていると同時に親にはとても感謝し尊敬しています。

でも、確かに女の子の一人っ子、母親にとってはとても難しい存在ですよね。私も中学受験の時や中学入学したての時は危うかったです。でも、ある日気づいたんです。私がほかの人からされて嫌なことは「~しなさい」って命令されることだって。だからやめました。やっぱり娘の人生に介入しすぎてはいけない、血は繋がっているけれど違う人間だし、価値観も考え方も違いますし、そこが面白いんですよね。

どっちにしろ、親は子供より先に死んじゃうし、子供の人生に責任はもてませんものね。
Commented by ちえ at 2015-07-27 09:15 x
私も毎日子どもを追い詰めています(@_@)
楽器のお稽古しなさい、公文何処までやったの?
あまりに低レベルなので、文にすると悲愴感は無いかもしれませんが、やはり子どものストレスは感じます(^_^;)

通塾時期を5年6月に想定しているのも、
通塾するとクラスのアップダウンに一喜一憂してしまうのが目に見えているからで、実は小心者なのです(>_<)

それでも子どもにやる気を出して欲しくて、
Sの夏期講習に投入します。
入塾勧誘サービスなのか、分不相応なクラスにしてもらえて、内心付いていけるのかびくびくしています(^_^;)

親の不安が子どもを追い詰めるのでしょうから、
アンダンテさんのように、どんと構えて子どもから便りにされる親でありたいです。
Commented by an-dan-te at 2015-07-28 12:28
くるみさん、
相性は大きいですね。あと、こじれないように傍からは見えてるだけで子どもの立場からは深い傷を負っている場合もけっこうあると思います…

> 特に高校生になってからは一線を引いてるような気がします。
次につなげないように努めているんですね。

利発だったら、って(^^;;
まぁ、なまじっか「やや」中学受験向きだとね。
深入りしていたかもしれませんよね。

> 見事に裏切ってくれて、大丈夫でした^^;
うちは、もぅもぅもぅ
第一子またろうの裏切り方が鮮やかすぎて、
それでいっぺんに第二子、第三子は楽してるところがあります。

ブルドーザーが通った後みたいに幅広く道が通っちゃったというか(^^;;

> 今は、子供に対するマイナス思考をなんとかせねば、と思ってます(><)
そろそろもう大丈夫なのかなと思うけど、どうでしょう。
Commented by an-dan-te at 2015-07-28 12:33
みさままさん、
おぉ、暑い日本を出て暑いタイへ。
けど、日本の暑さもハンパなかったような気がします。

けっこうへろへろです。
この中、重いバッグ持って講習に通う受験生はたいへんですよね…

> 全くもって意見をせず見守ってくれました。
それはすごい、すばらしい。
しっかりしたお母様ですね。

中学受験のときって、どうしても「合格」したくなりますから危うさを持っていると思います。でもその結果、合う学校に入れてしまえば、親の口出す幕はあんまりなくなってくるのでわりと安全になっちゃうんですよね。

> 血は繋がっているけれど違う人間だし、価値観も考え方も違いますし
そうそう(^^) おもしろい。

Commented by an-dan-te at 2015-07-28 12:39
ちえさん、
お稽古事にしても、勉強にしても、なにしろある程度はやってみないと良さがわかりにくいものですから、
やるようにお膳立てするのって、あるところまでは「教育」だと思います。

クラスのアップダウンに一喜一憂して…というのは違う話ですよね(^^;; けど、なっちゃう。つい。

自分がそういう性質だと思えば、遅めスタートというのも一理ありますよね。過大な期待をせず、追い付けるところまで行くだけ。

> 親の不安が子どもを追い詰めるのでしょうから、
というか、子どもの行く末も不透明で、子ども自身いろいろと問題を抱えているわけですから、不安があるのは当然のことだと思うんですよ。

たぶん、問題になるのは、親自身の不安にすぎないものを、子どもの不安にごちゃまぜて押し付けることなんじゃないかな。
Commented by waki_t at 2017-12-22 12:36
地方出身パパです。

最新から遡ってもう一つの大切な記事はこの日から3回シリーズのテーマ。

教育虐待まで行かないにしても、予定していた勉強を
・あれやったか、これやったか
と追い込んでしまうこと、確かにあります。

その1:睡眠時間確保との闘い(早くとりかかって)
その2:宿題制覇(学校・塾)との闘い

もっとも、塾の宿題は親の裁量で適宜、調整できますが
さりとて、ある程度やらなと、単元の基本が理解できない

と言う思いから・・・ですね。
ちょっと待つ事ができずに、ついつい言っちゃう。
ついでに「声が大きく」なる・・・・。

きちんと仕上げたいと思っているのは実は本人。
そこに「まだ?」「早くとりかかれ」では、嫌になりますね。そしてモチベーションダウン・・・。

プチ虐待? 誰もよいこと無しですね。

一つ叱るには二つ褒めなさいともいわれます。
二つ褒めることを考えているうちに「イラっ」「カっ!」は抑えられるそうで・・。

中学入試の無い県出身のせいか、中学入試問題を見ると、とても解けない。その先入観で、焦りがあったせいか、結構追い込んでしまっていた様にも思います。
でも、いきなりできる人なんて、そもそもいないのですよね。科目の得意・不得意に合わせてレベルを設定してコツコツやれば未来は開けるかも?と思う様にしたいと思います。

Commented by waki_t at 2017-12-26 14:30
2017年にいくつかコメントしている地方出身パパです。

もう一つの大きな記事は2015年7月末の3つの連続した記事です。

いつの間に、声が大きくなったり、厳しい口調になったり、表情が険しくなったり。親としてはただ本気になっているだけだったのが、だんだんとそうでなくなってくる・・。

やっちゃう事です。そこをキチンと理解してほしいから、「その教材・演習」への取り組みを促すのだけれども、なかなか始めない。理由はイロイロ。で、だんだんきつくなる。

本人は精一杯やっている、そこを褒めないで、やっていないことばかりに目が行く・・・。という事多いです。
きっと解らない、進まない、は本人が一番悔しい。

ということは頭ではわかっているんですけどね。

一つ叱るには2つ褒めなさいとはよく言われるのですが、褒めるのは難しいです。うーむ。
Commented by an-dan-te at 2018-01-31 21:36
waki_tさん、
できない、できてないことをあげつらうほうが大人としてはやりやすい(慣れてる)んですけどね。
褒めるのが難しいと思うときはやっぱり褒めるネタを作るのがだいじで、それは意思が弱くても取り組める環境を作り、現在の学力でも十分にこなせる課題を提示して、「やったことを褒める」がスムーズにできるようにするのが大事だなって思います。

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