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第六首: これやこの行くも帰るも(助動詞、連体形+助詞)   

これやこの行くも帰るも別れては
  知るも知らぬも逢坂の関

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リズムがよくて、読み上げるだけで楽しい歌です。「行く」と「帰る」が対になっていて、「知る」と「知らぬ」が対になっています。それで、「別れては」と「逢坂」はどうなのか…??

「逢坂の関」は滋賀県大津市にあった地名ではありますけど、その語感というか漢字から当然のことながら「逢う」を連想しますね。だから「別れる」の反対語としても用いられているわけです。こういう、特定の連想をさせる地名のことを「歌枕」といいます。前回の「宇治山」もそうです。

ところで「行くも帰るも」とありますが、この「行く」って…もちろん動詞ですが、何形ですか?

* * *

「行く」はカ行四段動詞なので

行か(ず) 行き(たり) 行く(。) 行く(とき) 行け(ども) 行け(。)

という活用をします。だから、「行く」といえば終止形か連体形の二択ですが、いずれにせよ、助詞「も」にそのままつくとは思えませんね。これ、実は「行く(人)も帰る(人)も」のように、省略されていると読むものなのです。こうやって、変な連体形が来て、その続きの体言が省略されている表現というのは古文に頻出します。テストでもよく聞かれます(^^)

次の「知るも知らぬも」も同様です。知っている人も知らない人も。

ここで、「知る」と「知らぬ」が対なんだから、当然「知らぬ」は「知らない」という意味ですが、この「ぬ」が今回話題の「助動詞」です。打消の助動詞の代表といえば「ず」ですが(情けは人のためなら「ず」)、この「ず」の活用ときたらこんな:

○ ず(して) ず(。) ぬ(とき) ね(ど) ○
「ずずぬね」!? なんじゃそりゃー!! さっぱり理解不能なパターンですが、なにしろともかく打消の助動詞ですからね~しょっちゅうお目にかかってるうちに、嫌でも慣れますよ。「ずずぬね」です。以後お見知りおきを。

やっかいなのは、この「ぬ」という「顔」がほかの助動詞とかぶってることです。「夏は来ぬ(きぬ、と読む)」といったら夏が来たという意味、つまり完了の助動詞「ぬ」なのですが、「来ぬ(こぬ、と読む)人を」といったら打消の助動詞「ず」の連体形で、来ない人を待つとかいう話になります。

未然形+「ぬ」  →打消「ず」連体
連用形+「ぬ」  →完了「ぬ」終止

この歌では「知ら」が未然形ですから、否定のほうの「ぬ」だってすぐはっきりわかりますけどね。「来」と漢字で書かれちゃったら、「き」と読むのか「こ」と読むのかわからないと、何形だか決まらないじゃないですか。そういう場合は、別の手がかりを探していくことになります。

大丈夫かな? 今、大丈夫じゃなくても、打消「ず」も完了「ぬ」もこれから何度も出てきますから、そのたびに「ほぉ~」と思ってくださいね。そのうち納得できます。

[訳読]
これがあの(話に聞く)、行く人も帰る人も、知る人も知らない人も、別れては(また)逢うという逢坂の関(なのだなあ)

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by an-dan-te | 2013-03-30 07:29 | 中学生活

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