「文字と式」で中学受験は変わるのか?
2012年 04月 27日
←脱ゆとり、影響は??
だから、参観で「文字と式」の授業を見たとき、私の頭をよぎったのは、「中学入試にも、x,yとか出てくるのかな??」ということだったが、それにしちゃ、日能研教材にはその気配もないし、第一、そんなことがあるなら、私が気づくよりずっと先にヨノナカで騒ぎになってるよな、と思い直した。
それで、家に帰ってから、指導要領と教科書を確かめてみると:
---- 文科省のページから、指導要領の該当部分
D(3) 文字を用いた式
数量の関係を表す式についての理解を深め,式を用いることができるようにする。
数量を表す言葉や□,△などの代わりに,a,x などの文字を用いて式に表したり,文字に数を当てはめて調べたりすること。
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となっている。
これはつまりどういうことかというと、先日の授業の前半でやったように、「いろんな数が入る部分」をxとおいて、たとえば面積を 5 × x と表してみる。そうして、xにいろんな数を入れてみるのである。ここで、「いろんな数」というのは、整数だけではなくて小数や分数でもいい、ということがテーマの一部であるようだったが、確かに、指導要領解説には
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その際,数を当てはめて調べる活動などを通して,整数値だけでなく,小数や分数の値も整数と同じように当てはめることができることに目を向け,数の範囲を拡張して考えることができるよう配慮する必要がある。
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と書いてあるから、ここまでは範囲になっているのだ。
それで。狙いは、「中学校数学科とのなだらかな接続という観点からも,簡潔に表すことができるなど,a,x などの文字を用いて式で表すことのよさを味わうことのできる素地を養っておくことが大切である。」とあるので、やっぱり「よさを味わって」おかないとね。
教科書を見てみると、とにかく文字式の計算というものはしない…
つまり、2 × 3x = 6x とか、2× + 3x = 5x とか、文字式の操作的な部分が一切ない。移行もない。実を言えば、「方程式」とか「解く」というところは出てこない。
じゃ、何をやっているの?? と疑問に思われるかもしれないが、だからこの範囲で出せる問題というのは、
「ノート 1 冊を x円として、4 冊の代金を求める式を書きましょう」→x × 4
「x の値を90としたときの、代金を求めましょう」→360円
というようなものに限られる。
…と、いうわけで、「何がうれしいの??」とわからないままだったとしても別に不思議はないし、先生がやや勇み足で、式の計算が必要なところを押して「レンズ形」に手をつけたくなったのも理解できるというものである(成功したかどうかはともかく)。
ここまでするなら、y = x + 100 で x にいろんな数を入れてみるだけでなく、x と y のグラフを描いてみるとかしたらちょっと、何がうれしいのか感じられるような気もするけど。
あとね。子どもにとってのハードルは、xが「いろいろに変わる」というほうが高いのではないだろうか。「まだ明らかになっていないけれど何かである数x」というのを置いといて、「x + 100 = 200」、さぁxを当ててみよう!! というほうが、概念的にはむしろわかりやすい。それに、そのほうが、「式を書くだけで問題が整理できて、解けちゃう」という喜びにもつながるんじゃないかと。
そこまで考えてみると、そういえば中学受験には昔から、□を使った逆算というのはあって、とっくにそういうことまで入っていたわけで。
まったく同じことを、xとかyとか使って書く、って変化なら起こりうるかもしれない。
だって算数の教科書で、「x」と「y」(という文字)の書き方を習ったからね。
(でも、それだけ。)
このビミョーな導入で、中学校数学が始めやすくなるのかどうかは謎である。
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by an-dan-te | 2012-04-27 14:06 | 中学受験 | Comments(14)
文字と式かぁ。今、小6でやるんですかね?
いきなり変数を扱うのはハードルが高いように思えたので、うちでは定数、まず円周率をπという文字に置き換えることからやってみました。
小4くらいだったと思いますけど、円周率が出てきた頃なんで、ひょっとすると小5の前半だったかな?
直径から円の面積をするときに、とりあえずπという記号のまま計算して、最後に数値を代入して計算すると式を書くのが楽チン。
異なる直径の円の面積の比を計算させて、π同士でも数字と同じように計算できるし、しかもそのほうが計算が圧倒的に楽ってことが判ると後は早かったように思います。
文字式が定着していれば、べき乗の表記の仕方も簡単に理解できるみたいで、そこから最大公約数、最小公倍数、数列へ広がっていきますし、平方根の概念もあっさり理解出来るみたいですね。
なるほど、円周率を文字で表すのは、「まとまり感」が出ておトクさがわかりやすいですね。
何か「文字で表すとイイコトがある」ところまで面倒みてほしいような、食い足りない感じがあります。あるいは別に、慌てて文字をやらなくてもいいような気がするけどねぇ。それより、割合とかあやふやな子が多いところを、しっかりさせといたほうが、とか個人的には思っちゃいます。
5,6年生のときの先生がおばあちゃん先生で、「エッキス」って読んでたのが強く記憶に残ってるので。
というわけで、当時の学習指導要領を見てみました。
第5学年
文字を用いて,数量の関係や法則などをいっそう簡潔,かつ,一般的に表わしたりよみとったりすることを知らせ,それが漸次できるようにする。
ア 公式などの示している関係が,整数,小数などにかかわらず用いられることを知ること。
イ 数量を表わすことばや,□,△などの代わりにa,xなどの文字を用いることを知ること。
ウ 簡単な場合について,文字にあてはまる値を求めること。
・・・なんと、5年生で習ってたんですね。
しかも、簡単な場合だけとはいえ、xの値を求めることまで教えてたんだ・・・
おぉ~「エッキス」(^^)
つまり、習っていたんですね。
ところが、私もよしぞうもその件は記憶になく…
もっとも、私の先生はほとんどまともに算数の授業をしなかった人なのであてにはなりませんが。
今ちょっと文科省のページで「変遷」一覧をみたところ、
…昭和55年から小学校では「ゆとり」改訂があって、私とよしぞうはぎりぎり高学年からゆとりちゃんになってたらしく、文字式は出てこなかったみたいなんですよ。
小学校から文字式の導入があったほうがスムーズなのかどうかって、どう考察されているんでしょうね。
アンダンテさんの年齢が私の思っている通りなら、昭和52年改訂、小学校は55年から実施の「ゆとり」カリキュラムが実施された頃は既に卒業されていたかと。ただし、このころは指導要領の切り替え時に「移行措置」があったので、その影響があったかもですが。
あれっ…(計算ちぅ)…サバ読んでしまいました(^^;;
#いやここ突っ込んじゃいけないでしょう。
なんか、我々「ゆとり」って呼ばれてたみたいですけど、少なくとも小学校課程のことじゃないってことかな。でも移行措置…!?
私の先生は超いいかげんだったのであてになりませんが、よしぞうの担任はバリバリだったみたいなんで、あったらやってたと思うけど。
移行措置はどうだったのかな・・・?
新課程になった後、ゆとりになった、ってことですね?
丙午の代で改定があって、私たちは旧課程になってしまったので。。。
そっか、新課程になって、さらにゆとり、になったのか。。
小学校の時に、□を使って式を立てる方法、習った記憶があります。方程式の基礎、やっていた気がしますね。
そうなんですね。くっきりはっきり。
そういえば「移行措置」という言葉は(子どものときにも)聞いたことがありますけど、だからどうだったとかはさすがに覚えてません。
21vertexさんのブログで、指導要領の変遷をまとめてくれてましたが、ああやって見ると、いかに子どもたちが振り回されてきたのかというのがもぅ(-_-;;
丙午はなにかと境目になってましたね…
□でもx,yでもいいんですけど、わからないものを文字で表して式を書き、それを解けるんなら役に立ちますが、今回の改訂だと何がしたいんだかわからないんですよね。
>そっか、新課程になって、さらにゆとり、になったのか。。
とありますが、「新課程」=ゆとりですね。
教育関係者で「ゆとり」と呼ばれているカリキュラムは1977年告示の指導要領です。最近巷で「ゆとり世代」と揶揄されている「ゆとり」はその2代後の1998年告示の指導要領ですが。
「旧課程」=「現代化カリキュラム」のこととしますと、「新課程」すなわち「ゆとり」カリキュラムになったのは、小学校は68年度生まれが小6の時、中学は66年度生まれが中3のとき、高校は66年度生まれが高1のとき。高校だけは学年進行なので、高1でかすってないと旧課程です。
つまり「現代化」カリキュラムが小学校では1971年度から実施されたことから、小中高まるまる「現代化」だったのは、64-65年度生まれのみ。66年度生まれは小学校は逃げおうせたが、中3以降は「ゆとり」=新課程になったわけです。
ブログの方も読ませていただきました。
途中で頭がこんがらがってしまい、あれれ??状態になりました。
わかりやすい解説をありがとうございました。
えっと、私は、逃げ切った世代です。。。
後輩たちが、数学の科目のことを、ⅡBとかⅢ、と言わなくなってしまい、私たち古いのね、と思った記憶があります。。
失礼しました~
最初は、「これの何がイイの?」と思いますよねやっぱり。だんだんわかってきてよかったですね(^^)
かんたんな問題や説明ですか?? うーん、専門家じゃないんでお役に立つかどうかわかりませんが、後日記事に書いてみましょうか。