努力の価値を体感させる   

昨日のピアノの話でいうと、私の母は私に、私はまたろうとこじろうに、それぞれピアノ好きにすることは成功したし、結果的に日々楽しくピアノを弾いてるわけで、それはそれでいいんだけれど…

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この話は、中学受験勉強のモデルとしては適切でないところがあります。というか、適切でないところがあると(私は)思います。

つまり、ピアノならそういう路線は大いに「あり」。趣味なのだから、うまいとか下手とか、いいんです、本人が楽しければ。他人と比べる必要はないし、「がんばる」ことなく到達できるレベルで満足していても、かまわないんです。

でも、中学受験をするからには、そういうのを目指しているわけではないですよね??

小学校三年で、私が練習をしたくなくなり、「ピアノやめたい」「いいわよ」。あっさりやめてトラウマにもならず嫌いにもならず、三十年たってピアノ復活して楽しく弾いている。それはいいんだけれど、

たとえば中学受験大手塾に通い始めて一年、成績は上がるときもあるけど下がるときもある、お友達の誘いを断って塾にいかなきゃいけなかったり、勉強しなきゃいけなかったり。それで
「塾(中学受験)やめたい」「いいわよ」
…違うだろう、それは~。

もちろん、私立中とひとことでいってもその中身は様々であり、あまり勉強の成果を問われないところもあるでしょう。そういうところでも、公立中とは違う特色を持っていて、それが好きなら通う価値はありますよね。

けど、そういうことではなくて、SでもNでもYでもWでも、とにかくそういう大手塾に入れて勉強を始めさせたのは(あるいは、通信や親塾にしても、それと同等の勉強をさせようとしたのは)、受験勉強をきっかけにして、得させたいものがあったからではないでしょうか。

そのひとつは基礎学力。現状、公立小学校の授業と宿題では、基礎学力として非常に危ういものしかなかなか身につかないので、それよりはしっかりした学力を身につけさせたい。中学以降の学習の基礎となり、将来の選択肢と自由度を広げてくれるような。

そしてもうひとつが「努力の価値を知ること」。別に「巨人の星」みたいな「おもいこんだらしれんのみちを」ってんじゃなくて、無理をしない程度でもかまわないんですが、毎日まいにちコツコツ勉強を積み重ねて、二年なり三年なりそれを継続したら、どんなに遠くまで来れたのか、そういう実感が持てること。

その点でいえば中学受験である必要はなくて、またピアノの話に戻りますけど、単に音楽好きにさせるということなら、練習をやらせることにこだわる必要はありません。週一回、レッスン中しか弾かないで何年もたっても、突然何かのきっかけでこれ弾きたい!! になったあとにはそれなりに趣味として楽しめるものになっているものです。またろうやこじろうのように。

でもそれは、アニソンが両手で弾けるとかそういう話であって、ショパンやシューマンやドビュッシーやラベルをどんどん弾いて楽しめるということではない。そういうレベルに達するためにはやはり、毎日の、それ自体おもしろいとはいいにくい練習が必要で、その長期間の積み重ねが、より深い楽しみへ導いてくれるのですよね。

中学受験も同じように、何年かにわたる積み重ねがあって、その結果すごく遠いところに到達することができた、という体験ができます。いろんなことがわかって、つながって、計算したり試したり考えたり、読んだり書いたりすることがより自由にできるようになって…そして、ハードルの高い入試を課す中学に入学できた。

その成功体験には、それ自体価値があります。考えてみればすごいことです。いっしょの学校に通う仲間は、全員が「努力の価値を知っている」子なんですよ。公立中とのいちばんの違いは、実はそこにあるという気がするんです。

その中では、何かにいっしょうけんめいになってる子を茶化したり馬鹿にしたりする雰囲気はないし、それぞれがやりたいことに邁進してれば、くだらないいじめをしてる暇もありません。人生を棒にふるほどのバカやってる場合でもありません。そして何かに優れているという子がたくさんいて、いろんな影響を受けることができます。

またろうの中学校生活とこじろうの中学校生活を比べて、私立中があまりにも居心地よいので、何が違うんだろうと考えてみると、やっぱり一番違うのはそこかなと思ったのです。

そして、そのためには、「毎日こつこつ」の部分が本人的に気の進まない部分であっても取り組ませる、ちょっと嫌になったといってもその気まぐれで簡単にやめさせてしまわないということがどうしても必要です。中学受験で親ができることの中で、いちばん大事なところはそこじゃないでしょうか?? 強制、無理やり、押し付けでなく、どうすれば「毎日こつこつ」を実際に続けるように促せるのか。

親がなーんにも注意を払わなくても、そういうことができる子ってのもいるものですけど、たいていはそうじゃないので。まだまだ、親の愛と知恵が試される日々が続きます。

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by an-dan-te | 2011-09-08 07:50 | 中学受験

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