国語の解答って難しい
2010年 12月 02日
←どんなに得意でも、国語で満点とるってのはできないよねなかなか
問題は、台風で停電してしまったときの話(永倉万治「武蔵野S町物語」より)からの出題で、
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「ねむりにつくまでの健一の気持ちの動きについての説明としてもっともふさわしいものを後のア~エの中から選んで、記号で答えなさい。」
ア 停電の直後には不安になった。しかし、母親の落ち着いた声や、妹たちのにぎやかで明るい声を聞いたことで安心し、ねむってしまった。
イ 停電の直後にはわくわくしたが、風雨が強まると不安を感じた。しかし、じいさんの言葉を聞いたことで安心し、ねむってしまった。
ウ 停電の直後には不安になった。しかし風雨がはげしくなり、不安は高まっていった。それでも父親の何事にも動じない態度を見たことで安心し、ねむってしまった。
エ 停電の直後には楽しい気分でいっぱいだったが、風雨がはげしくなるにつれて不安になってきた。しかし、家族と寄り添っていることで安心し、ねむってしまった。
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要するに、いったん不安になってから安心してねむってしまったわけだが、「直後は不安になった」のかどうかがまず問題。本文には
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停電になった時はわくわくしたが、暗やみが長く続くと、やはり不安になるのだ。
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とある。
とにかく、選択肢アの「母親の落ち着いた声や、妹たちのにぎやかで明るい声」はまったく本文に反しているので即除外なのだが、次に、「停電になった時はわくわくしたが」から、選択肢ウの「停電の直後には不安になった。」が除外できる。
それで、イとエの比較になるけど、じいさんの言葉はひとつ安心に向かうきっかけにはなっているものの、そこではまだ不安でいる状態なので、家族と寄り添う安心感をとってエかな。(*)
というようにはなひめは考えた。ところが解答は「ウ」(o_o)
それで、この答えって違わない?? と問い合わせてみたら、返ってきた作問者コメントは
「『直後』という言葉がお子さんには紛らわしかったのかもしれないのですが、本文中にあるのは『停電になった時はわくわくしたが』ということで、『直後』という言葉はもっと長くを指すものです。だから、『暗やみが長く続くと、やはり不安になるのだ』とあるように、『直後』には不安になっているので、イやエは違うということをわかってほしいというのが作問意図です」
…とのことで。伝えてくださったのは事務の方なので、もちろん私はそこで反論したりしませんが。
点数を上げてもらうのが目的じゃなくて、どういう回答が来るのか興味あっただけだし。
いやっ、それ、お子さんにじゃなくて私にも紛らわしいですから!! っていうか、
その作問者の日本語と私の日本語ってきっぱり別言語ですから!!
だって、私の使う日本語じゃ
「停電になった時はわくわくしたが、暗やみが長く続くと、やはり不安になるのだ。」
が
「停電の直後には不安になった。しかし風雨がはげしくなり、不安は高まっていった。」
にはならないよ。
#そもそも、この「しかし」ってなんか変…
ま、これだけ各人の日本語感覚に隔たりがあれば、赤本の解答(国語)にしばしば間違いがあったり、小説を書いた本人が解けない問題があったり(^^;; するのも無理からぬところでしょうかね。
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(*)「不安」→「安心」に向かうきっかけとしては、
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「屋根かな。」と父親は、不安そうに天井を見上げた。
「ああ、屋根かしんねえ。明日、やればいいんだ。それまでじっとしてりゃいいんだ。」じいさんが正座したままでそういった。
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というのと、
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家族はひとつところにじっとしていた。強い風がふくごとに、健一は家族のそばににじり寄って行った。そうしていると敵が来ても守ってくれそうな気がするのだ。父親はいつもよりたのもしい存在に見えた。
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という記述がある。
「父親の何事にも動じない態度」については、「父親はいつもよりたのもしい存在に見えた」というのはあるけど、態度について具体的に書かれた個所がないのでちょっとひっかかる。
また、じいさんの、「それまでじっとしてりゃいいんだ。」という腹の据わったセリフはなかなか良いが、健一はそのタイミングで安心になったわけではなく、やはり家族でひとところに寄り添っているところでいつのまにか安心して眠ってしまったというふうに読める。
ただ、エの「停電の直後には楽しい気分でいっぱいだった」というのはtoo muchな感じで、そこまでいうとあまりどれもぴったりはしないんだけどね。
by an-dan-te | 2010-12-02 13:17 | 中学受験 | Comments(16)
そうですよね。まぁでも完璧な、そして「良い」作問をするのってほんとに大変でしょうからそれはいいんですけど。でも指摘されたあと、再度考えてもやはり、この説明は本音なのか?? それとも大人の事情(点数を訂正すると事務上運用上とてもたいへん)なのか?? がとても興味あるところです。
ほんとに。ちょっとひっかかるのは確かなんですよね。どれもあんまりうまくない(ってこと、国語だとけっこうありますね)。
実際、某校の過去問を解くときに「この学校の問題ではできるだけ深読みを避けて簡単に考えたほうがよい」など、「正答とされる解答の傾向」を分析したこともあります。そういうのはだいたい難関校ではありませんけどね。
設問者の回答はきちんとした回答になっていないような気がします
それでも私は正解は枝ウと考えます
その理由は以下のとおりです
課題文によると
「停電になった時はわくわくしたが、暗やみが長く続くと、やはり不安になるのだ。」とあります
したがって、不安になる理由は直截的には暗やみが長く続くこととなります
枝アは論外として
枝イでは「風雨が強まると」との記載(特に助詞の「と」に注目)から、不安になることの理由が違うという理由で切ることができます
次に枝ウと枝エの対比ですが
枝エにおける「風雨がはげしくなるにつれて不安に」の「につれて」が理由を表していると解することができるのに対し、枝ウの「風雨がはげしくなり、不安は」の「、」で文が区切れていることを考慮すると、気持ちの理由付けと消去法の観点から枝ウが残ると思います。
公文書では、こういった微妙な表現が多く、マスコミ関係者含め、ほとんどの人がミスリーディングしていますが、中学入試の勉強段階でこのような問題が適切かどうかはおおいに疑問です
紛れがなく、それでいて聞きたいことを聞ける選択肢問題を作るのは難しいでしょうね。作ったあとは採点が簡単だけれど。
学校ごとにやはり多少の癖があって、それに合う合わないというのはありますね。合わせられればいちばんいいけど。
おー、そんな目の付け所があるのですね。
ただ、この場合は私の切り取り方が悪いというか、この先に風雨が強まってくるとともに不安が強まってくる描写が続いているのでその理由でイを落とすのはできないですね。
なんにせよ、ややこしいです…ややこしくないと簡単すぎちゃうとか、あるんでしょうけど。
ははー(^^;; 私もそれ思う。
私がどうしても納得いかない問題は、子どもにも「いいよ気にしなくって!!」といっちゃいますけど。でもね。こじろうは、すごい明らかなのも外しまくってたから許せなくて(泣)
『停電になった時はわくわくしたが、暗やみが長く続くと、やはり不安になるのだ。』が「停電の直後には不安になった。」にあてはまるのだとすれば、
『しかし風雨がはげしくなり、不安は高まっていった。』ここにあたる部分が本文から読み取れるはずです。
それが「ない」ということなら、たぶんこの問題は「悪問」ということなんでしょう。
自分自身が小学生の頃~大学受験まで国語テストの「問題文」を読むのが大好きだった(自分の好みでは選ばないけど読めば面白い「読み物」として読んでいた)ので、「武蔵野S町物語」も読みたいと思ってブックオフに寄ってみましたがありませんでした。区の図書館にはあるようなので、借りてみよっっと思います。
問題文きっかけで本を読んでみるとけっこうおもしろいことありますよね。
こじろうの受験では「アーモンドチョコレートのワルツ」だったな…あれも確か納得いかない解答きっかけで(^^;;
> 『停電になった時はわくわくしたが、暗やみが長く続くと、やはり不安になるのだ。』
> が「停電の直後には不安になった。」にあてはまるのだとすれば、
いやーこの「すれば」に無理があると思うのと、次の「しかし」はどうしたもんだかと思うだけで、
> 風雨がはげしくなり、不安は高まっていった
にあたる部分はありました。
国語ってほんとやっかいですね。別に、受験では100点取る必要があるわけじゃなし、あまりこだわらなくても問題ないともいえますけど。
確かに、この選択肢の「直後」の使い方と、接続詞(しかし)の使い方は、変だと思います。
消去法で、ア~エのそれぞれから「この部分は決定的に違う」というところを探してほしい、という問題だったのかも。
で、決定的に違う部分がない(?)、ということで(ウ)が正答ということなのでしょうか。
正答の選択肢にも敢えておかしな修辞や接続語を使って分かりづらくしたつもり(???)なのかな??
こういう問題、高校の時に受けた河合塾の全統模試(とか言う名前だったか?)にちょくちょくあって、よく引っかかってた覚えが……
そうねぇ。sdpさんやocarinaさんがいろいろ指摘してくださって、いろんな見方があるもんだって勉強になりました。まぁ、今(四年)は親なら迷わず解けるようなものがちゃんと解けてればいいかなとは思いますが。過去問を解いていて、迷う選択肢が多い学校だったりしたら悩むかもね。
> 正答の選択肢にも敢えておかしな修辞や接続語を使って分かりづらくしたつもり(???)
はは(^^;;