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計算ミス対策: 速さを追求する   

計算ミスをしたくないからといって、ゆっくり解くというのは違う。

  にほんブログ村 受験ブログ 中学受験へ←で、計算力をおろそかにした私の中学受験はダメだったんだけどね

毎日の「計算と一行題」を見ていても、急いでやったときに間違え、のんびりゆったりやったときに正確かというと、むしろ逆。慌てたり上滑りするのはダメだけど、むしろ「いいスピード」が出ているときのほうが正確に解けている。

昨日に引き続き「化物語」つながりで恐縮だけど、そのシリーズで「偽物語」というのを読んでいてですね、「将棋」について語ったこんな一節があった。

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「あれは単純な遊戯だ。本質的には底が浅い。」
「駒の数が決まっている。駒の動き方も定められている。盤面も画されている。何もかもが有限だ。つまり可能性が最初から限りなく閉じているのだ---これでは複雑になりようがなく、よってゲームとしては低レベルだ。だが、にもかかわらず、一流の棋士は、誰も彼もが天才だ。凡才であろうと極められるゲームを、天才以外は極めていない。どうしてかわかるか」

「将棋は速度を競うゲームだからだ。棋士同士の対局では必ず脇に時計が置いてあるだろう。そういうことだ、制限時間のあるゲームだからこそ、ルールが単純なほど盛り上がる。如何に思考時間を短くするか---詰まるところ、頭の良さとはスピードだ。どんな名人の手順であろうと、時間をかければ誰でも同じことができる…だから大事なのは時間をかけないことなのだ」
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この主張(もちろん、作者の主張ではなく登場人物の主張)は、なかなか良いところを突いている。もちろん間違えているところもあるが。将棋が制限時間のないゲームだったころ…タイトル戦の対局でも制限時間なしでやってた時代があって…それでも天才が勝つゲームだった、というのがひとつ。あと、どんなに自由に時間が与えられても、凡才が極められないってところね。言うまでもないことだけど(^^;;

でもそれは、やはり人間の持ってる時間てのはどこまでいっても有限だし、とにかくまとまりを持って考えられる時間にも限りがあるってことなのかもしれないと思う。将棋のルールは、たいへんにシンプルで、くまなく誰に対しても開示されており、凡才でも十分に理解できる。ある局面に対して、ルール違反でない手が何と何なのか、私でも自信をもってすべて挙げることができる。そうして枝分かれした局面に対して、また相手の手としてルール違反でないものがいくつかあり、以下同文。

つまり、すべてのことは明らかであり、「ありうる手」について理解の違いもない。ピアノやバイオリンと違って、タッチだの速さだの、そういったアナログかつ微妙な違いもなく、不器用に駒をつまんで指そうが、目的地点の枡目までひゅんと超速で叩きつけようが、そんなことはまったく勝敗に影響しない。なのに歴然と表れるこの強さの違いはいったい何なのか??

そこまで考えれば、やはり強さの違いのベースとなるものは、思考の速さの違いであるとも思えてくる。広い局面を、先のほうまで見通すことのできる速さ。人間に与えられた集中力も時間も、それは必ず有限なものだから、その範囲内で深いところに到達する力というのは、すなわち速さなのだ。ここでいう速さはコンピューター的な融通のきかない意味ではない。無意味な枝に入り込まないセンスもまた、現実問題としては速さの一部だろう(でも、羽生は他の棋士がさっさと枝狩りしちゃうようなところを読んでるのが特徴だとか…ぶっちゃけどれだけ速いんやねん)。

すごい脱線したけど。中学受験でいう計算問題というのもまた、誰に対しても平等にすべてのルールが開示されているもので、しかもそのルールを理解することくらいはたいてい誰にでもできる。計算問題のミスの多さに悩んでいる子も、別に計算のやり方が理解できてないわけではないだろう(仮にそうなら、それはそれで大問題だが)。

しかし厳然として、計算にはうまい下手というのがあって、「うまさ」を構成する基本要素はやっぱり速さなのだ。速いということはすなわち、正確なことであって、しかもその有機的な組み合わせで「深い」ところに到達できる原動力になるものなのだ。

だから、ばかばかしいくらいに簡単な計算問題が速くできるようにトレーニングしてみるというのは、悪くない方法だ。不思議なことに、計算ができるようになるだけでなくて、難しい問題が解けるようになる。ずっと前に書いた記事だけど、「家庭教師だったころ -計算力の話」はそういう事例。

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by an-dan-te | 2010-11-30 13:14 | 中学受験 | Comments(4)

Commented at 2010-11-30 14:25 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by an-dan-te at 2010-11-30 23:37
***(2010-11-30 14:25)さん、
ありがとうございます(*^-^*)
ここではお返事しづらいですから、ぼちぼちそちらを読みにうかがいます。
Commented by トマト at 2010-12-01 22:09 x
リンク先を読んで、アンダンテさんに家庭教師してもらえば良かった…って思いっちゃいました。と言っても、現実には年が近すぎて無理ですけど…。

自分を振り返ってみると、やっぱり絶対的に計算練習が足りなかったんだと思います。ソウの宿題の量見ても、それは明らか。ソウも理系がmajorityの学校なので、嫌でも計算、鍛えてもらってます。
Commented by an-dan-te at 2010-12-02 13:28
トマトさん、
あれはほんとにうまくいった例なんですけど、実は私自身がそういうのをめんどくさがるたちで絶対的に計算練習が足りず、「霧が晴れない」まま受験を迎えたクチでして。

もともとこの作戦もよしぞうの立案だしね(^^;;
数学は、まったくよしぞうにかないません。
だからといって、よしぞうのほうが教えるのがうまいかっていうと別の問題だけど。私は、家庭教師けっこう好きだったなー。

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