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「偏差値30からの…」を読み直して思うこと   

渦中にあるときは、気持ちを落ち着かせたいとか笑ってストレスを吹き飛ばしたいとか、とかく中学受験本を手にとってしまうものだ。

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というわけで、我が家には少なくない数の受験本(体験記)が並んでいた。いくつか捨てたものもあるけど、やっぱり気に入っていたものはなかなか捨てられなくて、特にコレですよ:
「偏差値30からの中学受験」鳥居りんこ著

この本の「たこ太」くんは、やや遅いスタートと思われるこじろう(新五年入塾)よりもっとせっぱつまって、五年夏期講習からの日能研。しかも母のりんこさんは、やや…というか非常に、中学受験や勉強ということに疎かったようなので、これは我が家よりもっと困難な道のりだっただろう。

決してシャレにならない状況が、ユーモラスにテンポよく表現されていて、別にノウハウ本ではないのだけど、学校説明会では「あえて孤独」などのちゃんと役に立つ(?)知恵も盛り込まれている。そして絶対落ちないと言われた土佐塾に落ち、スレスレだった逗子開成を決めるまでのくだりは、自分の子の話でなくても、泣ける。

感動のストーリー、成功物語といってよい。今読み直してもやっぱりおもしろかった。こじろうが六年生になってすぐくらいのときは、この本を読みながら、日能研におけるラストスパート怒涛の進行に思いをはせながら、戦々恐々としていたものだ。

今回、特に目に留まったところは、たこ太くんが進学した逗子開成が、本人的に一番「ピンと来た」学校だったということ。初めて見た私学であり、「お母さん。俺、ここに入りてー!」とたこ太くんは言った。しばらくしてまた行ったときも、「お母さん。ますます、入りたくなった!」。後付けで、よりランクの高い学校(浅野)に親が誘導しても、本人のひとめぼれはゆらがない。そしたら、当日だってやはり奇跡(偏差値を超えて入る)は起こりようがないとしたもんだ。

親が学校を見る観点と、本人が学校を見る観点は違っていると思うけれど、親がここはと思ってまず連れて行った学校で、かつ本人が空気を気に入ったということは、かなり「キテます」ということだ。こじろうも、今いってる学校はそういえば、初めて見た私学、かつ、本人がひとめぼれした学校だ。

だから、「初めて」見る学校がどこかというのは、けっこう重要なことなのかも。もしそこが気に入らなかった場合でも、そこをリファレンスにして、以降の学校を見ていくだろうから。

…という感慨を抱かせるのは、この本の「良い面」だと思う。もちろん、さっと読めるエンターテインメントであるというのが一番優れた面なんだけど。そして、やはりどうしてもひっかかるのは…夏休みのくだり。

「天王山」とあおられる六年夏、「これをどうすれば!?」と目を疑うような分厚いテキストをしょって子どもたちは暑い中、毎日のように塾通い。講習は午後からとかなはずなのだが、たこ太くんは昼夜の弁当を持って「朝から」通っていたらしい。基本的に自由時間はなし。一日中が勉強時間である。

私は、勉強であれ仕事であれ、そんな生活を送ったことはないし、子どもたちももちろんない。一ヶ月以上、休みなしの長時間労働。しかも、たこ太くんは、ほっといたら勉強したがっちゃってしょうがないのよ的なお子様ではないわけだ。この生活は想像を絶する。

よくこんな夏を乗り切れたものだと思うが、それがなんとかやれる子もいるし、それで秋にはぐっと成績を上げてくる子もいるのかもしれないけど…少なくともこの本の記述を見る限り、「やれてた」状況にはみえない。たこ太くんの体は「お腹が痛くなったり、熱が出たり、中耳炎になったり」悲鳴を上げており、それにも関わらず、「置いていかれる不安」にかられた母がたこ太を無理やり塾に送り届ける。ビニール袋(嘔吐用)つきで。

ここのくだりはさすがに、「こういうこともあるよね」的に笑って読むことができない。全体が、バトルも含めて軽い調子で書かれているだけあって、一線を越えてしまった雰囲気のある記述がなんだか怖いのである。渦中にあって、頭のネジの調子がふだんと違っちゃってるときに、「あるある」って読めちゃったら??

何を「一線を越えている」と思うかは人によっても違うのかもしれない。だから、こういう本を読むときは…読むのはいいと思う。不安でたまらない時期に、ちょっとガス抜きしたり、一部参考になったりするもんね。でも、自分が持っている「ここは死守する線」というのを、他人の体験談を読んだくらいでぐらつかせちゃいけない。

天王山の夏よりさらに押し詰まって六年の年末のとき、個人面談で「この期に及んで勉強時間が短すぎる」と嘆いた私に室長先生は言った。「これまで勉強を一時間してたお子さんが、受験直前だからといって、三時間四時間にできるかといったら、それはできないですよ。その子なりの時間てのがありますから。あとは中身をどうしていくかを考えることですね」

本人の器よりたくさんのものを、親が無理に注いでもこぼれるだけだ。たこ太くんも、そこまでしたのに秋にはニクラス落ち。案外、常識的な範囲で勉強時間を組んだほうが、効果は高かったのかもしれないとも思う。そんなこと誰にもわからないけど…

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by an-dan-te | 2010-11-15 13:39 | 中学受験

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