「偏差値の生みの親」死去   

「偏差値の生みの親」として知られた教育評論家の桑田昭三さんが昨日亡くなったそうです。

  にほんブログ村 受験ブログ 中学受験終了組(本人・親)へ←指標はじょうずに使いましょう
はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと ←アマゾン
*「なか見!」機能で「立ち読み」できます♪

…というか、考案者がご存命だったことも今日初めて知りましたし、「偏差値」が日本独自システムであることも今初めて意識しました。(「標準偏差」とかはもちろん万国共通概念ですが、この応用、運用がということです)

桑田さんがご存命中のインタビュー記事があったので興味深く読みました。

これによると、「偏差値」というものを生み出したいと思ったシチュエーションは、生徒をその志望校に向かわせるか向かわせないか(志望校変更)という、のっぴきならない進路指導現場でした。

桑田さん(当時、東京都の教員になって二年目)はある生徒を「いける」とふんで元気づけて送り出してしまったんですけど、進学係の先生(ベテラン)は志望校変更の判断だったんですよね。結果、その生徒は不合格になってしまい、

「その時の、生徒に対する贖罪の思いと、教師としての自分の不甲斐無さが、この偏差値を生むきっかけになり原動力になったとも言えます。」

とのことで、真面目な先生ですね。

当時の進路指導は、校内テストの点数、順位と志望校一覧を元にgo/non-goの判断をするものだったようですが、この成績、この順位なら行けるのかどうかってときに、頼りになるのは「長年のカン(?)」だったようで…

そこで、桑田さんは、「生徒の学力分布を正規分布とみなす」アイディアから偏差値の考案に至ったのですけど。

でも、順位で表示するのと、偏差値で表示するのと、この場合の違いはどこでしょうか?

いずれにせよ、この集団の中での相対的な位置(ある一回のペーパーテストの)を元に指標化しているには違いないので、本質的にはそんなに違いないような気もするんですが。

いちおう、違うと思うところは、
・学年の人数が年度によって違ったりするなら、偏差値に揃えておいたほうが見やすい。
・200人いるとして、1番と20番はけっこう実力差ありそうだけど、100番と120番はたいして違わないような気がする。そのへん、偏差値のほうが「実力」に即した数値に見える。

要するに、母数によらず揃えた指標となり見やすいこと、真ん中が団子になってるあたりは違いを圧縮して示せること、ふたつ合わせて「相対的なポジションを感覚に合う形で表示する」効果があると思います。

本質的な違いはなくとも見やすい数値。そのほうが、「長年のカン」だって働きやすいというものです。この時点では、ある学校の進路指導で順位の代わりに偏差値を使ったからといって、受験先の高校の偏差値一覧がない限りは結局のところ判定はカン頼りになるわけですけど…

だから、ここまでだったら、偏差値という概念導入は、「功罪」の功も罪もたいして大きくないといえるでしょう。

しかし、偏差値というのが見やすい、扱いやすいという性質を持っているため、拡大路線と相性が良かったのですよね。

・何度もテストをやった結果を平均する(ならす)
・校内テストではなく、数千人規模の業者テストをやった結果を使う
・学校の難易度を偏差値を用いた一覧にする

ここまで来ると世界が変わってきます。そこまでは桑田さんの意図したことではないと思いますが。

桑田さんは研究を重ねるうちに
「学力テストによって測り得る生徒の学力的相対位置は、人間がいかに手を尽くしてもその時々、かつ各人各様に揺れ動くものである」ということを実感し、
「試験は一種の測定ですから、測定値には誤差は付きものだからです。学力テストのような間接的な測定では尚更のことです。」といっています。

元々の意図は、ある生徒がある学校を受けに行くべきか否か、「科学的に」判定したいというものであったのですが、結局それはあるブレを持ってしかわからないことだった(当たり前ですが)。

「高校入試関連のテストに限って言えば、偏差値で±3ぐらいの範囲で成績が変動する確率が60%前後でした。厳密には揺れ幅は各人各様です。私でも本番のテストで取る成績の範囲と確率は予言できますが、試験当日、実際に取れる成績は、どう知恵を絞っても予測することが出来ませんでした。つまり、本番の試験は、平均的学力より高い側の成績が出るのか、それとも低い側の成績が出るのか、神様だけしか知らないということです。したがって、この闇の部分を私は『テストの神様の裁量分』と呼ぶことにしています。」

偏差値という扱いやすい概念を導入したことで、「テストの神様の裁量分」の大きさをあぶりだすことができたのです。「データの日能研」もここに依って立っているわけですね。

インタビュー記事を読んで、すごい人だな(しかも謙虚)と思いました。
ご冥福をお祈りします。

にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(本人・親)へ
にほんブログ村

にほんブログ村 中学受験(指導・勉強法) ←ランキング参加しています。
にほんブログ村 中学受験 ←こちらも参加しています。
にほんブログ村 中学受験(日能研) ←こちらも参加しています。

実用書じゃないけど文句ナシのおもしろさ↓
ブログやってなかったころのこじろうの様子がちょこっと載ってます。
中学受験 叫ばせて! (地球の歩き方BOOKS) ←アマゾン
[PR]

by an-dan-te | 2016-04-01 13:04 | 中学受験 | Comments(0)

<< 中学受験のスケジュール(アクセ... 学校の価値は入学後に決まる >>