管理教育からの大転換(海城)   

海城というと、なんか勉強がりがりやらせてトーダイ行け~みたいなイメージがあって(個人的に…)
こじろうの受験のときとか真面目に調べたことがなかったんだけど(地理的な問題もあるけど)、
友人の息子さんが通ってる様子を聞くと別にそんなんじゃなくて、

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あれーどこかで変わったのかな?? とは思っていました。

それで今回、「中学受験 注目校の素顔 海城中学高等学校」(おおたとしまさ)を読んだらその変わり方、想像以上でした。

転換点は「1992年」だったそうで、ちょうどその年に入学した卒業生のインタビューが巻頭にあります。

入学してすぐ「入学おめでとうという言葉は6年後にとっておく」(o_o)とか
「東大に行きたいやつはどれくらいいる?」「東工大は?」「早稲田は? 慶應は?」ときて、早慶とかに手を挙げちゃうと「今から早稲田や慶應でいいなんて言っているようではだらしがない」(!)とか

中一最初の中間テストの出来が悪かったといってクラスまるごと「部活禁止令一か月」になってしまい部活スタートで出鼻をくじかれたとか

すごーい。これは、バリバリ旧体制派の先生なんだろうけど、このころ、新(リベラル)旧(管理)の先生の強い葛藤があったらしい。リベラル派の先生は、たとえばアイヌの研究したいなら北大のほうが、みたいに東大にこだわらない指導をしたりね。

「1992年」とはっきり言えるそのわけは、まず入試が変わったこと。細かい知識を問う問題が多かった社会が、資料を読み解き長い記述を書くタイプにがらりと様変わり、入ってからも「社会1」「社会2」「社会3」というような総合学習的な社会科になって、現実社会の様々な「正解のない問題」に挑むというスタイルになったのです。

それまでの海城は、生徒たちの尻を叩いて東大に押し込む方式である意味順調に大学合格実績を伸ばしてきており、その…いちおう「成功」を手放すのは怖いという面は当然あったわけです。

でもそこを乗り越えて入試や授業の改革、自分の頭で考えて、自分の言葉で表現することにシフトしていき、さらに教育理念の練り直し、コミュニケーション力やコラボレーション力を高める具体的なプログラムの導入…

その、無茶苦茶本気の原動力は何であったのか??

この本の中では、それに関連することとして、東大の学内調査で、海城出身者の留年率が高いことなど「大学に押し込むことはできるが、入ってから伸びない」ということに気づいたとかいうことが出てくるのだが、そのことだけでこれだけ大変な改革を漕いでいけるのか、どうもピンとこないところはある。

けれども通読して感じることは、強い葛藤も乗り越えていける「オープン」な土壌が管理教育の中でも消えていなかったこと。改革後の教育でも、いろいろな考えの人がいるのは当然としてチームの合意形成をしていく力などにとても重点を置いている。

「ひとり」の自己実現と「みんな」の最適化の狭間に「倫理」というものがあり、常に「ひとり」「みんな」の両面から吟味して(正解はないけれど)落としどころを見つけていかないといけない。それは、例えて言うとそれぞれが勝手なことをしていたら船が沈んでしまうということで、海城の根幹を支えていたはずの感覚だった。

ところが
「それを見失っていた時期もありました。なりふり構わず大学進学実績だけを追い求めていたような時期です。生徒よりもむしろ学校自体が自己満足のために教育を行っていた時期といってもいいかもしれない。しかしそれに対する反省も踏まえ、四半世紀を経て、海城創立者が目指した原点に立ち戻ってきたわけです。」

「なりふり構わず大学進学実績だけを追い求めていたような時期」…おおた氏の「学校研究シリーズ」の中でここまでカッコ悪いことを赤裸々に書いた学校はあっただろうか? しかしそれをストレートに見据えて大転換を図った「本気」は180度回って突き抜けたカッコ良さ。

大改革の結果、大学進学実績は下がるどころか爆上げといってもいい状況になったので、そこを心配していた先生にとっては大きな安心材料になっただろうけれど。

考えてみれば、この改革がうまくいけば…つまり、自分の意思でしっかり学び、しっかり考え、しかも表現する力も持った生徒が巣立っていくときに大学合格実績も付いてくることは理の当然だものね。「ガリガリやらせる」よりはずっと。でもその当然のところへ着地させるのは実際問題、膨大な努力の積み重ねが必要だったはず。

すごい学校だなと思った。これまでの人生で(そしてこれからも)あまり縁がなかったけれど。

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by an-dan-te | 2015-10-05 22:59 | 中学受験 | Comments(6)

Commented at 2015-10-07 21:52 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2015-10-08 16:44 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by an-dan-te at 2015-10-09 07:23
***(2015-10-07 21:52)さん、
はは(^^;; 過去のイメージが強すぎて、ね。
新興校ではなくて、伝統校だけどイメチェンした学校というのもおもしろいですよね。ちゃんと、伝統に通っていたスジを生かしてチェンジするとそれはそれで本物感が出るようです。

ひとことで自由といったときに、その意味するところが学校によってずいぶん違うような気がします。麻布の自由、JGの自由と海城での自由はそれなりに違うでしょうね。海城のほうがきちんと先生が押さえるところは押さえるという感じなのかもしれません。
Commented by an-dan-te at 2015-10-09 07:27
***(2015-10-08 16:44)さん、
がんばってますね~
偏差値的に順調に推移しているというのは、とにかく学習がしっかり噛み合って回っているということですから、なによりです。

偏差値的には足りていても、過去問でいきなり点はとれないというのは、ごく普通の話です。ちゃんと合わせて仕上げていけば取れるようになりますよ。こじろうは過去問やってみて取れない学校を捨てましたがそれは併願校候補でということです。第一志望ならやってみるしかないですね。はなひめも最初ぜんぜん取れませんでしたが仕上がりはとてもよかったと思います。

過去問をやりこむことについては別記事にまとめようと思いますのでちょっと待っててください。
Commented by きーちゃん at 2015-10-19 23:19 x
先日、説明会に行った私の妹が、おおたとしまささんの本のことを学校説明会中に話をされたようで、この本のどこの部分を話しますから、それ以外のところは本でご確認ください、ということだったそうで、説明会終了後この本を買い求める列がかなり長く伸びていたそうで、私の妹も早速買った、ということでした。

過去問の話はよく聞きましたね。古い過去問は傾向が違いすぎるので、と言われました。まあ、そこまで古い過去問までたどり着かなかったんですけどね(苦笑)
Commented by an-dan-te at 2015-10-23 13:36
きーちゃんさん、
説明会でそういわれたら買うよね(笑)
でもほんと、海城もうれしかったでしょうね。とても魅力が出ている本だもの。いろいろと模索を続けている学校ですし、書かれてみて整理できた、改めて気づいたという部分もあったりしておもしろかったんじゃないかな。

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