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高校受験の偏差値表はわかりにくい   

中学受験ではお馴染みの、合格可能性80%ラインの偏差値がずらりと載った、偏差値表というもの、あれって、すごくわかりやすいですよね。どのくらい「偏差値」で物事を測るかということは人の価値観によって異なるにしても、目安として便利であることについては誰も異存ないでしょう。

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でも、あんなわかりやすい「偏差値表」というものは、中学受験で終わりです。高校受験にも、大学受験にも、あんな便利なものはありません。一律に比べにくくなってしまうからです。

中学受験では、大多数の私立中学が、算数国語理科社会の四教科、試験当日にペーパーテストをして合計点どん!! で決めるという入試を行っています。もちろん、細かく言えばと、出題傾向に差があったり、難易度に差が合あったりして、合う合わないということはあり、わが子の合格可能性は最終的にもっと慎重に考えなければいけないでしょうけど、一次近似的には、非常に優れた一覧性の高い比較ができます。

ところが、高校入試となるとわけが違います。三教科(英数国)入試あり、五教科入試あり、内申もあってその比率は様々。一律に比べることができないんです。

何を言ってるかというと、昨日、久しぶりにこのブログの記事を更新したら、気になる記事「なんかおかしい偏差値表」を見かけたからなのですが、その記事にコメント欄がなかったし、書きたいことが長くなるからこちらに書いております。あ、私もサピファンじゃないので、特に反論するとかそういう意図ではないのですが、ただちょっと批判のポイントに違和感がありましたので。

それでですね、だから高校受験の偏差値表が「おかしい」のは今に始まったことではなくて、当たり前なんです。特に、内申なし一発勝負の私立と、内申ありの都立を並べると、わけがわからなくなるものなんです。ちなみに、この記事で書かれている偏差値表というのは、サピックス中学部のものと思われます。
2014年度受験予測偏差値

たとえば、またろうは第一志望が高専でしたが、普通高校も受験させておきたいと思い、塾の先生に相談したら、奨められたのが、この表中でいうと偏差値50くらいの私立ひとつ、都立ひとつでした。またろうの学力というのは、基礎穴だらけ、英語壊滅、不注意が服着て歩いてるタイプ、数学だけできるというものですから、中学受験的にいえばぜんぜんたいしたことないレベルですが、高校受験の、いわゆる塾模試偏差値的な位置づけからいうと、こんな感じ。数学テストが難しくて、大きく稼げるという前提があればわりと有利だからです。一方、公立中でのポジションは、定期テストでいって上から1/4、内申でいって1/3というところでしょうか。非常に目立たないあたりです。

先生はそれこそ塾の偏差値表から見て「このへん」ということで学校を奨めてくれたわけですが、実際に受かるかどうかは別です。偏差値より内申が破壊的に低いまたろうは都立だとぜんぜん違う話になっちゃうので、まぁたぶん無理だろうということで、そのときは私立を受けて、合格しています。逆に、中学校できちんとやれてる子だったら、都立のほうが鉄板(内申で稼げるから)、あるいは、そこそこやれてる子だったら、稼げるまでではないにしても、当日試験の前に固まってる部分が多い都立のほうがやや安全ということになると思います。周囲の合格・不合格状況から見ても、相対的な難易度順は、大まかにいって妥当なようでした。

つまり、入試当日のペーパーテストの目安でいうと、そんなに間違いではないと思うんです。相対的な位置関係は、またろうが当時通っていた市進の偏差値表(*)も、ここにあるサピックスも、あんまり変わらないですね。

ただ、「利用上の注意」をいっぱい書かなきゃいけないことになるんです…

それと、くだんの記事でもうひとつの疑問点は、いくらなんでも新宿高校が43、戸山高校が50とか低すぎじゃないか、そんな「上」の集団だというならそんなんで塾商売成り立つもんかね、というところですが。

中学受験のサピックスと違って、高校受験のサピックスははっきりいって弱小です。合格実績を見ても、最難関の国私立に絞ったニッチな戦略を取っていることが見て取れます。日比谷、西あたり以外の都立なんてほんの付けたしポジション、県立千葉は1名、県立湘南は2名ですよ。

要するに教材も、テストも、そういう照準を合わせてやってるってことです。その中で、またろうレベルが偏差値50(真ん中)だとしたら、その上が半分下が半分。まぁそんなもんかなというか、むしろ下に寄りすぎでしょう。私なら、またろうレベルの子をサピに入れたりしません。ただのお客さんになっちゃいます。というか、トップ都立三校以外の都立が志望校だったら、こんな塾に(模試だけでも)関わるのは時間の無駄だということがひしひしと感じられますよね。この表を見ると。

合格可能性60%なのか、80%なのか、サピでもオープンとかいくつかの模試をやってるだろうけどどの模試が基準なのか、書いてないのは不誠実っちゃ不誠実ですけど、ぶっちゃけ、そんな精度は出ないってのがほんとのところではないでしょうか。高校入試がいろいろすぎるし、サピ中学部が抱えている受験生母数もたいしてないわけですから。

長くなっちゃいましたが、そんなふうに長々と留保の必要な高校受験偏差値表というものを、HPに説明抜きで公表しているサピックスさんの意図は何かって、そんなことは私にはわかりませんけど、別にありがたがってサピックスに入塾しようという人が増える効果とか、難関私立高校や、中学受験の方に誘導する効果とか、ないと思いますね。っていうか、高校受験偏差値表を見るころには、中学受験年齢過ぎちゃってるしね。

むしろ、学力的には都立がかなりお買い得…真面目に内申を稼げる子なら、学力イマイチでも、天井知らずの実力を持つ学友に囲まれて(偏差値表の学力目安はあくまで下限であって、天井知らずなのがトップ都立です)部活に文化祭に楽しく過ごすっていいじゃない?? とか思う役には立ちそう。でもそうするとサピックスさんの意図には反しているかもね…

まじめにいうと、サピックス中学部の真のターゲットを取り込み、それ以外は跳ね返す効果があるから掲げているんじゃないかな、というのが私の想像です。

(*)ただし、市進は表を出すとき、国私立と都立は別表にして、混ざらないようにしてたみたいです。

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連載: 日経DUAL 「共働きファミリーの中学受験」
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by an-dan-te | 2014-03-25 13:09 | 高校受験 | Comments(4)

Commented at 2014-04-04 22:47 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2014-04-10 16:46 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by TDJ at 2014-05-26 10:21 x
高校入試の偏差値も、見方さえ分かっていれば簡単です。
まず、内申というサルの落書きも評価する公立は、存在しないものとしてスルー。
そして、駿台全国高校入試模試の私立欄だけを見ればいいです。特殊例として灘が4科目(社会なし)、他は3科目(関東に多い)か5科目(関西に多い)です。ただし、ラサールや開成は理社が傾斜配点で圧縮(2科目で、英数国の1科目分くらい)されますが、多くの場合、それは誤差の範囲です。気になる方は、3科目偏差値と5科目偏差値の平均を修正偏差値として傾斜配点分を評価に反映すればいいでしょう。
Commented by an-dan-te at 2014-05-26 22:13
TDJさん、
そうですね~公立をまるっと無視するならずいぶんわけのわかったものになるでしょう。科目の違いにはちょっと注意して見るとして。

まぁしかし実際問題、高校受験だと公立を目指す人が多いですから、見るなってのもちょっと無理がありますかね…またろう受験のときは二本立てで見るような感じでした。

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