開成流の「自由」と、結果として東大合格する教育   

開成のことを、ひ弱なガリ勉学校と思っている人はよもやいませんよね? 大学にはそれこそたくさんの開成卒の人がいましたが、なんというか、もっとずっと体育会系のイメージです。

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ある開成卒クラスメイトが、これから授業が始まるときに、なぜだか「うぉー」といいながら走って教室に入ってきて、その勢いで「どん」と机に手をついたら机の脚がぐらぐらになってしまったということがありましたが(笑)、その意味不明な「アツさ」が開成っぽいという気がします。体育会系のノリで勉強もするし、きっちりレポートも期限どおり出すけど実験はあまりうまくないみたいな。

「弱くても勝てます」にあるように、
(参照過去記事「続けられる人々(開成野球部のセオリー)」)
努力をきちんきちんと積んでいける、時間の使い方もうまいというのが開成生の大きな特徴であると思います。

それで、そういう開成生はどうやって育つのかという、麻布、武蔵ときて次は
中学受験 注目校の素顔 開成中学校・高等学校
ですが。

開成という学校の歴史はなかなかに複雑で、盛り上がったり、生徒が集まらなくなったり、そのどこを取って開成の原型ができたといってよいかはわかりにくいのですが、こんな話があります:
開成の前身である共立学校が廃校状態に陥ったときに、その再建を託されたのが高橋是清という人である。この人は、14歳でアメリカに留学したけれどそこで奴隷に売られてしまい…という波乱万丈な人生のスタートを切った人なのだが、なんとか奴隷から逃れて帰国して大学で英語を教えたり文部省に勤めたりいろいろ。そして再建の話を受けたときはまだ25歳(o_o;;
その高橋が掲げた教育方針というのが
「東京大学予備門への入学を目指す生徒に、東京大学予備門の教員を招聘して教授する」
という、明確すぎるくらい明確なものだった。それで、共立学校から大量の合格者を輩出するようになって、共立学校の名は全国的に轟いた。

それでまたあと、経営難の時代を迎えたり、いろいろあったのだけれど、「開成らしさ」の一部は少なくとも高橋の時代に築かれたのだろう。「ペンと剣」の校章も、名物の運動会も、この時代に始まっている。

「ゆとり」で始まった武蔵と、このストレートな方針でスタートした開成はずいぶん対照的ですね。

とはいえ、現在の開成では、「ガリ勉して東大を目指せ」などという学校からの明示的誘導はないわけで、東大に入れるという目的の教育ではなく、結果として多くの人が東大に入るという教育になっています。
「開成の生徒は基本的にあまのじゃくですから、教員が『東大に行け』と言おうものなら、みんな東大だけには行かなくなると思いますよ」(校長談)

まぁ、開成生のことを「あまのじゃく」と呼ぶかどうかには疑問があるけれど、ともかくそんなストレートな物言いでは逆効果だっていうのは確かでしょう。そして、直な誘導の代わりに何があるかというと、「自由」であるというわけ。

引き続き、校長先生の談話から:
「生徒が自分のなりたい姿を思い描けるようにすることが、開成の教育の真髄だろうと思います。そのうえで、そのために必要なアドバイスを、我々はしているだけです」
「生徒が自由に自分の好きなことを見つけるために非常に重要なのは、教員が自由であるという前提です。教員が自由でなければ、自由な生徒は育てられません」
要するに、教員が主体的に、これがよいと考える方法で授業をし、その姿をカッコイイと思う生徒が、主体的に選択する姿勢をまねするようになる、と。

それはよいとして、主体的に、なぜ多数の生徒が結果として東大を選ぶのかというと、「ロールモデルが身近にいることが大事」というポイントにつながる。

中学のうちから高校の先輩が見えるのは、中高一貫校のよいところ。先輩が、自分の好きなことを、高いレベルでやっているのを見て、彼らが高校二年生くらいまでは部活にそれぞれ没頭していたのが、高三の運動会が終わるとスイッチを切り替えて猛勉強して、東大に受かっていくのを見て、「自分も」となる。

もちろん、ロールモデルは東大進学に限ったわけではないけれど、圧倒的な数の力というのがある。「大学受験昔々: 高校という場のチカラ」に書いたように、JGだったら、「たまたま」東大を目指そうという話になったときに、その仲間はいて、自然に目標に向かっていくことはできるけれど、ロールモデルとして東大進学はかなりレアものであって、まったく必然ではない。数があれだけ違って、「流れ」が強ければ、まったく別世界になるだろう。

あれ? 「体育会系」の話に到達する前にこの長さになってしまった。(つづくかどうかわからない)

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by an-dan-te | 2013-10-11 12:03 | 中学受験 | Comments(9)

Commented at 2013-10-12 00:58 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by スケルツオ at 2013-10-12 16:16 x
次男が大学受験の時、短期で個別指導をお願いしたことがありました。
なかなか良い先生に巡り合えず、何度か先生を変えてもらってやっと出会えた先生が開成出身の方でした。

真っ黒に日焼けして大学運動部で全国レベルでの輝かしい成績を収めていたらしいです。
でもよくよく聞くと、東大目指して頑張ったけど一浪の末、別の大学に進学。
開成出身で東大志望でありながら、非東大に進んだことに大きなコンプレックスがあって相当に苦しんだのだそうです。
でもそのエネルギーを学業とスポーツの両方に注いだんでしょうね。
就活では高く評価されて、希望通りの会社に就職することができたんだそうです。

体育会系の話、続き 期待してますよ~~
Commented by gura at 2013-10-12 23:25 x
髙橋是清についての小説を読んだことがあります。面白かった。歴史的に有名な人が沢山、でてくるんですよ。タイトルど忘れしました・・。

あの学校が開成の前身だったんですねえ。なるほど、納得です。
Commented by yoyo at 2013-10-13 08:49 x
坂の上の雲に 出てきますよね。
秋山真之、正岡子規、南方熊楠を 教えていました。
NHKのドラマでは 高橋是清を 西田敏行が演じていました。
ドラマをみて 共立学校ってどこだろうと思って調べたら 開成でした。

当時も 陸羯南が 正岡子規に「共立で学ぶと 大学予備門に入りやすい」と 奨めたそうです。
今も 初めから 開成から東大へと思って入学する子が 圧倒的に多いのではないでしょうか?  
Commented by an-dan-te at 2013-10-13 15:30
***(2013-10-12 00:58)さん、
おぉ、地道な実践で成果が徐々に見えてきて、よかったですね。ミスが追い込めるところまでいけると偏差値的にもぐぐっと出てくると思いますが…

国語の読解ですか? いつでもどうぞ~
Commented by an-dan-te at 2013-10-13 15:35
スケルツオさん、
そうなんですよね、なんか東大でないと挫折感みたいな損なポジションにある感じですかね。開成と筑駒。逆にすんなり東大に来た人は、陰影とか屈折とかなさすぎて、ちょっとつまんないんですが、結局のところ、人間どっかではうまくいかなくなるわけなので、なんだかんだ年を重ねるといい具合になってくるんじゃないですかね。大人になってから出会った開成卒の人は決して平板でも単純でもないもの。

うまくいかなくなったときでも、地道にがんばれるスタイルを体育会系ノリが支えているのかなぁと想像しています。
Commented by an-dan-te at 2013-10-13 15:39
guraさん、yoyoさん、
フォローありがとうございます。確かにドラマになる人生ですよね。西田敏行ですか(^^) ちょっと見てみたい。

> 今も 初めから 開成から東大へと思って入学する子が 圧倒的に多いのではないでしょうか?
そりゃまぁ、東大に行く可能性、というのが頭のスミにもなくて開成に行く人も少ないでしょうね。
Commented by gura at 2013-10-13 17:40 x
そうだ~坂の上の雲にも出てた!

私が読んだのは、幸田真音さんの、天佑なり、でした。歴史経済小説です。経済は苦手なんですが・・頑張って勉強と思って、楽しく読みました。途中で、漱石の坊っちゃんとか、数々の歴史ドラマを思い出しながら読みました。あの時代の、後に歴史に名を残す人のお家の人の子育ては、似ているところがある気がして。勝手に思い出すんです。

この子はきっと大物になる!と信じて辛抱強く愛情を注ぐ人がいるんですよ^^
Commented by an-dan-te at 2013-10-14 20:08
guraさん、
おぉ、そういうのもあるんですね。歴史「経済」小説。
> この子はきっと大物になる!と信じて辛抱強く愛情を注ぐ人がいるんですよ^^
確かに、そんな感じですね。というか、そういう人がいたから大成できたってことになるけど。

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