第12首: 恋すてふわが名はまだき(副詞、過去「き」)   

恋すてふわが名はまだき立ちにけり
  人知れずこそ思ひそめしか

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第十首として「忍ぶれど色に出にけり」をご紹介しましたが、歌合わせでこれに負けたのが「恋すてふ」。負けた忠見は落胆して食欲がなくなりついには死んでしまったといういわくつき。いつの時代も、採点競技ってのはその評価が禍根を残すのね。

これも、たいへん優れた歌だと思います。使われている技法は「倒置法」くらい(「~けり」で切れてる)で、シンプルにしみる感じです。

古文学習上のポイントは、「現代語から類推・想像しにくいところ」と考えると、この歌では「まだき」それと「こそ~しか」ですね。

現代語に「まだ」という副詞があるのでつい引きずられてしまいますが、この「まだき」は同じく副詞だけれども意味は真逆というか「早くも」「もう」ということ。なんでこうなった??(^^;;

副詞の意味って、使われすぎて擦り切れるとなんだかずれていくらしいです。つまり、古文と現代文で意味が違う言葉というのは、よく使われている重要単語でもあるし、テストで問題に出しごろでもあるわけですね。

「恋すてふ」の「てふ」も現代語と違いますけど、意味は想像どおりで「という」ということです。「といふ」が変化した連語で、まぁそういうものだといっぺん思っておけばそれで済みます。

「立ちにけり」の「に」はもうめちゃくちゃ頻出で、この歌が負けた「忍ぶれど」にも「出にけり」となってましたね。完了の助動詞「ぬ」の連用形が「に」という没個性的な形になるのでとにかくこれは「にけり」で目に焼き付けておいてくださいね(^^)

「人知れずこそ」は地味にポイントかもしれません。「知る」という動詞がありますが、これは「知ら・ず、知り・たり…」と活用する四段動詞。「知らず」でなく「知れず」となっているので別の動詞…「知れ・ず、知れ・たり、知る、知るる・とき、知るれ・ども、知れよ」下二段活用の動詞です。現代語でいえば「知られる」という意味。

「こそ」と来たら係り結び、「ぞ・なむ・や・か」は連体形で結ぶのに、「こそ」だけは已然形で結ぶ変わり者。已然形になると「お??」という形になる言葉が多いため、これは知らないとわけわかんなくなります。過去の助動詞「き」も、已然形は「しか」という似ても似つかぬ顔をしています。それだけに、「ぞ」とかよりはすごくしっかり「強意」という感じがしますね。

思い初める、つまり、人に知られないように始めた恋だというのになんで知られてしまったのか。という歌です。

[訳読] 恋をするという私の噂は早くも立ってしまった。人に知られないように思い始めたというのに。

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by an-dan-te | 2013-06-02 09:59 | 中学生活 | Comments(1)

Commented by gura at 2013-06-03 23:23 x
なるほど、こちらのほうが、シンプルですね。もう少しひねりがあったら、勝ったんでしょうか。それか、もっとどーん、とストレートにしたら新鮮だったのか・・。奥深いですね。私は辛いと余計に食べてしまうので、食べないなんて・・と思います。

ひそめしか、のところの響きが好きです。

現代語も、使いすぎるとすりきれますね。広まって、価値が下がるものも。イケメン、とか。興味深いのは、方言のなかに、古語らしきものが残っているところです。近所のおばあさんが、古語をちょいちょい話されます。意味がわからず質問すると、ほぼ古語のとおりです。うちの祖母も使っていました^^

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