第十首: 忍ぶれど色に出でにけり(完了助動詞「ぬ」)   

忍ぶれど色に出でにけりわが恋は
  ものや思ふと人の問ふまで

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この歌は、村上天皇主催の歌合わせで「恋すてふ~」と競ったことでも有名ですね。それで、なんでこの歌合がよく知られているのかといえば、優劣判定するところとかの記録(判詞)がすべて残っている最初の歌合だからなんですって。知ってました?

今、何を見ながら書いてるかというと、「ちはやと覚える百人一首」の本です。この本は、別に古文のお勉強の本じゃないので、文法解説とかはありませんが、「いまさら訊けない千早の素朴なギモン」とか「かなちゃんの古典オタクコーナー」とかあって、楽しめます。漫画から引用された挿絵もきれいだし。

ひとつずつ、漫画登場人物の意訳(飛訳?)がついてるんですけど、この歌に対しては詩鴨ちゃんの
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隠してたつもりやけど、ばれてしもたわ。「あいつずーっとかるた見てんねんで」って周りから言われるくらいにな。
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となってます。なんか、詩鴨ちゃん、どっちかっていうとばれてうれしそうな!?

恋も、隠しておきたいような、でも浮名が立つことがまんざらでないような、気分なのかもしれませんね。

「忍ぶ」という動詞は、逆説の接続助詞「ど」についてるから已然形で、それが「忍ぶれ」となっていることからわかるように、上二段活用です。「玉の緒よ…」の歌にも、「忍ぶることの」という、連体形の形で出てきます。

「「色」って、赤とか青とかじゃないの?」というのが「いまさら訊けない千早の素朴なギモン」のテーマになってましたが、「顔色」とかいう言葉もあるし、これは現代人でもわかりますよね…

「出でにけり」の「に」が今回のテーマです。いろんな言葉が形を変えたときに「に」という表記にかぶるので、初心者にとっては悩ましいもののひとつです。テストなんかにも、「に」の識別はよく出ます。ここでは完了の助動詞「ぬ」の連用形なのですが、「に-けり」のつながりで頻出なので、セットで目に慣らしておくと迷わないですみます。

そして「けり」は過去を表しているので、訳読としては完了っぽさと過去っぽさを盛り込んで「~てしまった」としておくのがわかりやすいでしょう。「にけり」で文が完結していますので、二句切れです。

「ものや思ふ」のところは、いわば鍵括弧にくくれる、セリフ部分です。前から何度も出てきた係り結びの例ですね。係助詞「や」を「思ふ」ハ行四段連体形で結んでいて、疑問を表しています。

[訳読]
私の恋は、隠しているが、顔色に出てしまった。「物思いをしているのですか?」と人が尋ねるほどに。

これと競った歌
「恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか」
は、趣旨が非常に近いところにあって、でも両方よくできていて、確かに甲乙つけがたい感じですね。

判詞の記録によれば、どちらが勝ちかの判断に迷っていたところ、村上天皇がぶつぶつと「忍ぶれど」とつぶやいていたのでこっちの勝ちにしたとか。それで、負けたほうはショックで物が食べられなくなって死んでしまったというのだから、歌も恋も命がけです。

私の勝手なイメージでは、「忍ぶれど」は、なんとなく、バレちゃった、へへ的な余裕が感じられ、「恋すてふ」は本気で口惜しいのかなと。だから私は「忍ぶれど」のほうが好きなんですけどね。

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by an-dan-te | 2013-04-24 12:55 | 中学生活 | Comments(2)

Commented by gura at 2013-04-24 14:30 x
へへ的な余裕、かわいいですね。中学生もそんな話していますね。も~秘密にしてたのに~バレた~、顔に出てるって~と嬉しそうに言うの^^

百首の一割になったんですね。すごい!でもあと九割あるんだから、百人一首ってまだまだ奥が深いですね。

漫画の詩鴨ちゃんって、この忍ぶから取った名前かな?と思っています。漫画の続きも期待。あんまり恋の話はないけれど・・。作者も対談でそういっておられました。
Commented by an-dan-te at 2013-04-25 09:35
guraさん、
百人一首はそりゃあ奥が深いでしょうけど、私は別にそれに詳しいわけじゃないですし、文法ひととおり解説するだけなら百首かからないはずです。

漫画やアニメも楽しみにしてます!! けどあれは恋の物語ではなくてスポ根系ですかね…詩鴨ちゃんってキャラはけっこうピリリと利いてていいですよね。

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