第八首: あしびきの山鳥の尾の(序詞、助動詞)   

あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
  ながながし夜をひとりかもねむ

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これも超~有名ですね。「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」って長ったらしく言われたら、そりゃもうほんとに「ながながし」なんだろうなって感じで納得しちゃうという歌です。「あしびきの」は「山」にかかる枕詞。枕詞はもう出てきましたね。「ひさかたの」のとき。

で、「あしびきの」が「山」を引き出してるのはいいんですが、さらに山鳥の尾のしだり尾の…「しだり尾」というのは「しだる(垂れ下がる)」という動詞の連用形に「尾」がついたものですが、「しだり尾」全体で名詞と思えばよいです。「忍び足」みたいなもんです。

そして「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」までの三句全体が「ながながし」を引き出しているのですね。こういうのを「序詞(じょことば)」といいます。

それでは、復習として、この歌にある形容詞と動詞を抜き出して、○○活用○○形、とコメントつけてください。

* * *

形容詞は「長々しい」って現代語にもありますから、すぐわかりますね。「ながながし」ですけど、ちょっと奇異に感じますね、これは。「なかながし」と「し」で終わっているからには終止形ですが、でも、次の体言(名詞)である「夜」にかかっているのですから、働きとしては連体形です。

何?? もうこの歌にあんまり慣れちゃったからどうとも思わないって??

…いやー実は私もそうなんですけどわりと(^^;; 歌の調子からいって、「ながながしき夜を」じゃどうもね。

そして動詞は「ね」の一文字です。現代語だったら「寝る」ですけど、古文だとこれは下二段活用で
ね(ず) ね(たり) ぬ(。) ぬる(とき) ぬれ(ども) ねよ(。)
となります。言い切りの形(終止形)は「ぬ。」ですからね、なんとなく慣れるまではムズムズするかも!?

次の「む」は助動詞で、前回にも出てきましたね、「逢はむ」って。こちらの「む」は意思でしたが、今回の「む」は推量を表しています。使い方は同じで、未然形につきます。

つまり、今回の歌の「ね」はナ行下二段活用「ぬ」の未然形。

そして、前回の「む」は、引用の格助詞「と」につながっていましたから終止形、
今回の「む」は係助詞「か」からの係り結びですから連体形、となります。どちらの形も「む」ですね。

推量/意思の助動詞「む」の活用は
○ ○ む む め ○
となります。終止形、連体形、已然形しかありませんし、変化もなんとなくシンプル…シンプルすぎてわかりにくいですか? まぁ、已然形っていうと「-e」っぽいですけどそれを「-u」に直せばいいんで、あぁ、たぶん「む」の已然形だろうなってわかりますよ。

「む」の活用は、パターンにはまらないので特殊型といいます。

前回出てきたもう一つの助動詞、受身の「る」の活用はこんなです:
れ れ る るる るれ れよ
…これって何かと同じじゃないですか? そう、動詞で出てきた下二段活用です。助動詞の活用は、「何かに似てる」ってことが多いです。だから、なんとなくこんなかなって、慣れてくると勘がききます。そんなにしゃかりきになって、「れ・れ・る・るる・るれ・れよ」と何度も何度も言う練習して暗記で叩き込もうとするよりも、歌の中で、前後や意味を確かめつつ「受身の助動詞『る』の連体形」「推量の助動詞『む』の連体形」ということがわかるように練習するのが近道です。

そのほうが楽しいですしね…

[訳読]
山鳥の垂れ下がった尾のような、長い長い夜をひとりで寝るのかなあ。

助詞の「か」は疑問を表しているので、訳読でも「のか」と入れ、
同じく助詞の「も」は詠嘆を表しているので、訳読では「なあ」と入れました。

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by an-dan-te | 2013-04-02 20:44 | 中学生活 | Comments(4)

Commented by gura at 2013-04-03 01:06 x
こんなに、ながながだらだら言っといて、ひとりかも・・・と言われるとほろりとしてしまいます。わざと?わざとだね。

子供のころは、かも、がわからなかったので、なんとなく、ぷいっと転がって寝てしまう感じだと思っていました。

アンダンテさんの記事を読んでいると、高校のときのことが急によみがえってきて面白いです。休み時間に、れ れ る るる るれ れよ、等みんなでぶつぶつ言ってましたね^^言い過ぎてこんがらがってくるんですよね・・・。
Commented by an-dan-te at 2013-04-03 21:26
guraさん、
百パー、わざとっす(^^)
> なんとなく、ぷいっと転がって寝てしまう感じだと思っていました。
おもしろい~音から来るんですね。でも、きっと音のイメージというのも意識して作ってたと思いますよ。ちょいグレおやじみたい?

> れ れ る るる るれ れよ、等みんなでぶつぶつ言ってましたね
そうそう。別のクラスがやたらそうやって暗記させる先生で、私が習った先生はあんまりそういうのさせなかったんです。
Commented by けひこ at 2013-04-04 11:00 x
私の通っていた学校では、百人一首の文法解説した本が配られて、
冬休み明けに中一三十首、中二は五十首・・・最後高三は作者まで全部覚える、
というのを六年間かけて毎年やってました。
私は百人一首をやらない家で育ったので、それはそれは苦労しました・・・。
が、この歌はその本の1ページ目を飾っていて、
一番最初に覚えた思い出深い歌です!
Commented by an-dan-te at 2013-04-06 10:35
けひこさん、
これが第一首だったのですね(^^)
確かに印象に残りやすい歌かも。「あーあーあー、ほんとに長かったのね」って感じで。
作者まで覚えるんですか、なるほど。そのほうが「本物の教養」ですね~

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