第七首: 瀬を早み岩にせかるる(を+形・語幹+み、助動詞)   

瀬を早み岩にせかるる滝川の
  われても末に逢はむとぞ思ふ

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恋の情熱ストレートなこの歌、好きな人も多いと思うのですが、のっけからこの「瀬を早み」…この「み」ってなんじゃらほいと疑問に思った方もいらっしゃるのでは。

これ、現代語には受け継がれていませんが、「~を+形容詞語幹+み」で決まった言い方で、「~が(形容詞)ので」という意味になるんです。「瀬を早み」だったら、「瀬が早いので」となります。百人一首の中で、ほかの歌にも出てきますよ…

今回は、ちょっと趣向を変えて、先に訳読を載せますので、これと元の歌をよ~く見比べて、どう品詞分解できるのか、ためしに考えてみてください。

[訳読]
瀬が早いので岩にせきとめられる滝川のように、わかれても将来は必ず逢おうと思う。

特に、「せかるる」とか「逢はむ」のところ、要チェック!!

* * *
この歌で、動詞は四個所出てきますが、「われても」と「ぞ思ふ」はこの講座で文法的に既出です。
「われ」…ラ行下二段連用形
接続助詞「て」につくのは連用形ですね。たとえば第六首で挙げた「別れては」と同じです。現代語の「て」も同様ですが、連用形で接続します。

「思ふ」…ハ行四段連体形
「ぞ」と「思ふ」が係り結びなので、連体形ですね。この係り結びはしつこいほど出てきます。

問題なのは、この二つ:
「せか」…カ行四段未然形
「逢は」…ハ行四段未然形
どちらも、「あ段」で終わっているからには未然形っぽいということはわかりますが、それに続く語「せか『るる』」「逢は『む』」が初出です。

『るる』『む』はいずれも助動詞です。

訳読となぞってみると意味がわかりやすいと思います。
『るる』は受身の助動詞「る」の連体形。現代語なら「せきとめら『れる』」ですね。「滝川」という体言にかかっているので連体形です。
『む』は意思の助動詞「む」の終止形。現代語なら「逢お『う』」ですね。引用の格助詞「と」に接続しているので終止形です。引用の格助詞「と」というのは、現代語でいう、

彼は、「明日また会おう」言った。

の「と」とまったく同じです。その前でセリフというか引用のまとまりが文として切れてますから、「と」の前は終止形ですね。

とりあえず、助動詞ってそんなもんだなぁってことで…
今回は、本文と訳読をよく見比べておいてください。

次回以降、助動詞自体の活用について、もう少し詳しくみてみましょう(^^)

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by an-dan-te | 2013-04-01 21:49 | 中学生活 | Comments(4)

Commented by gura at 2013-04-02 00:09 x
み、があると気持ちがきゅんとしませんか。うまく説明できませんが、現代の言葉でもかんがみとか、きわみ、とか。み、できゅっときもちが引き締まる、つかまれる感じです。

でもあんまり、なんじゃらほいと思ったことがないのは、勉強不足なんだろうな。小さいころから百人一首の音に慣れていたので、感覚的にとらえようとしすぎたのかもしれません。文法がわかると面白いですね。

Commented by まる at 2013-04-02 09:11 x
いつも解説ありがとうございます。
恋愛の歌はいいですね。

歌はなじみがあっても文法はさっぱりです。
これを何度も読んで文法にも強くなりたいです。
お勧めの文法書がありましたらよろしくお願いします。
Commented by an-dan-te at 2013-04-02 20:53
guraさん、
なるほど~音のイメージもありますね。
> 感覚的にとらえようとしすぎたのかもしれません。
いやいや、やはり感覚的にとらえるというのが大事だと思います。そして、感覚的にとらえたところを利用してさらにこんどは「ぎゅっと」文法でツボを押さえたら、あちこち使える~って感じですよ(^^)
Commented by an-dan-te at 2013-04-02 20:58
まるさん、
お気に入りの文法書がないんですよ~
今回の記事を書くのに、大昔の授業の記憶(?)を手繰り寄せながら書いてますが、なんかいい本ほしいですね。探してみようかな。

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