第一首: 田子の浦にうち出でてみれば(動詞)   

田子の浦にうち出でてみれば白妙の
  富士のたかねに雪は降りつつ

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海のそばから富士山を見上げたときの、鮮やかな白が浮かぶ美しい歌ですね。この歌で、動詞の活用について確認してみましょう。

動詞にあたる部分を抜き出してください。

* * * (←続きを見ないで考えるといいよ、のサイン)

動詞というと、現代語でいえば「歩く」とかそういう語ですね。ここでは「うち出で」「みれ」「降り」の三つです。この三つは、活用のパターンがそれぞれ違うんですよ。それぞれ「下二段活用」「上一段活用」「四段活用」といいます。「四段活用」は最もポピュラーな活用です。現代語では五段活用というのがありますね。

降ら(ない) 降り(ます) 降る(。) 降る(とき) 降れ(ば) 降れ(。)
未然 連用 終止 連体 仮定 命令

古典の「降る」は四段活用になります。

降ら(ず) 降り(たり) 降る(。) 降る(とき) 降れ(ども) 降れ(。)
未然 連用 終止 連体 已然 命令

違うところは、「仮定(起こっていないこと)」に対して「已(すでに)然(ある)」という形があることです。違うのはそこだけ…

あ、あと、もう一点あります。現代語の活用では、未然形に「降ろ(う)」(←意味上、ふつうないけど)というのがあって、「らりるれろ」つまり「あ段」から「お段」まで五段揃ってます。古文だと「お段」がなくて四段活用なんですね。

「うち出で」は「で」「づ」の(下のほう)二段しか使わないから下二段活用
うち出で(ず) うち出で(たり) うち出づ(。) うち出づる(とき) うち出づれ(ども) うち出でよ(。)
「うち」は調子を整える働きをするもので、意味はあまりありません。訳読のときには、省略可です。

活用を確かめるときには、この、括弧内もいっしょに読んでみるとわかりやすいです。そんなに暗記を気張らなくても、「えーと、『ず』につくには…」「うち出でず、か」とわかるようになればOKです。

要するに、「○○形」のどれになるかは、その続き(接続)によって決まるのです。この歌でいうと、
「うち出でて」と「て(接続助詞)」につながるから連用形。現代語でも、「朝起きて、歯を磨いて…」と、「て」につながるときには連用形ですからおんなじです。

「降りつつ」と「つつ(接続助詞)」につながるのも連用形ですね。これまた現代語と同じです。ここで「つつ」は継続を表します。降り続いているのです。

現代語と同じものは「あっそう」で、する~りと終わらせてかまいません。気をつけるのは、現代語と違うところ。「みれば」です。「みれば」って現代語でもいいますが、意味が違います。なにしろ、現代語では「仮定形」ですが古文では「已然形」ですからね。活用パターンは上一段で現代語と同じなのですが…

み(ず) み(たり) みる(。) みる(とき) みれ(ども) みよ(。)

古文で「みれ(已然形)ば(接続助詞)」といったら、仮定ではなく確定条件の「ば」です。だから訳は「みると」になります。決して「みれば」って書いちゃダメだよ。ここ、テストに出ます(ほんとう)。

[訳読]
田子の浦に出て(遠くを)見ると真っ白い富士の高嶺に雪が降り続いている

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by an-dan-te | 2013-03-26 07:34 | 中学生活 | Comments(10)

Commented by レタス at 2013-03-26 09:47 x
おはようございます。
いやー古文ですか。これはグッドタイミングというかありがたい企画です。
学校の勉強は理数系以外は右から左に状態みたいで、家でいくらかやらな
いといけないなあ・・・、でもテキストがないなあ・・・、某Z回の国語は
やめちゃったし・・・、とかいろいろ悩んでいた矢先だったので、この
ブログの本文コピーしてテキスト化させて頂こうかと思っています。
ぜひぜひつづきもよろしくお願いします!!
Commented by あこ at 2013-03-26 13:36 x
いつも読ませて頂いています。我が家の一人娘もこの春終了組です。今はのんびり過ごしています。この1年アンダンテさんのブログを読みながらが私の職場でのお弁当タイムでした。食事会も参加したいくらいでしたが私は東京から○○○kmはなれた地方で、泣く泣くあきらめました。古文とは少し話がずれますが娘の読書について気になる事があるので書いてみますね。国語も好きで受験時代もよく本は読んでいました。本屋で立ち読みし始めると数時間でも動かなくなります。ただ読む本がずいぶん違うんですよね。親が思うものと。
結構入試問題にとりあげられるような本も読んでいましたが、親が読むと本当に軽い!ように思われるんですよね(まるで携帯小説のよう)。早々に配布された中学の国語の教科書にヘッセ作品が出て来て読んでいてこちらは感動していたですが当の本人はまったく興味持たず。小学校の先生に以前保護者会の時に聞いたことがあったのですが『時代背景が違いすぎるので難しいと思います。』って言われました。う〜ん、私の子供時代は確かに昭和だったけど充分明治の作品を面白くて何とも魅力を感じましたが‥。如何思われますか?
Commented by 21vertex at 2013-03-26 14:20 x
現代文でも「みれば」で「みると」という意味のこともありますよね。それともこの用法の「みれば」は文語なのかな。

大昔、たぶん中学くらいで、文中の文語体の言葉を抜き出せ、みたいな問題で、いくら探しても見つからなかったんだけど、答えが「つつ」だったことがあった。口語体だと「ながら」だと解説に書いてあったかな。

ここまで2回読んで思ったのだけど、アンダンテさんの解説わかりやすいんだけど、その前提として口語文法の知識が必要ですよね。中受でもある程度やるけど、きちんとは学んでないので。ということは、中学入ったばっかりで古語文法を学ぶのは難しいのではというのが、わたしなりの結論です。
Commented by an-dan-te at 2013-03-26 18:00
レタスさん、
なんか書き始めたら楽しくって(^^)
止まらなくなってしまいました。百首はいかないですけど、基本的な文法事項がだいたい並ぶまで行こうかなと思います。
Commented by an-dan-te at 2013-03-26 18:04
あこさん、
うちでも、またろうとはなひめはよく本を読みますが、私が読んでほしいと思うようなものはまったくといっていいほど含まれていません。はなひめが読むものも、またろう経由で怒涛のように雪崩込んでくるラノベが中心で。

> 親が読むと本当に軽い!
軽いからライトノベル(^^;;

そういえば、中学生のころはよくヘッセとかドストエフスキーとか読んでいました。そのわりに日本モノはあんまり読んでいなかったんですけどね。

> 『時代背景が違いすぎるので難しいと思います。』
確かに、時代背景が違うからって読まないってことにはならなかったと思うんですよね、自分自身のことを考えると。でも、子どもたちは、そんな雰囲気ですね。どうしてなのかなぁ??
Commented by an-dan-te at 2013-03-26 18:11
21vertexさん、
あぁおっしゃるとおり、現代語の文法を前提としてしまっています。そうそう、私が「百人一首で古典文法」の授業を受けたのは中三のときで、そのときまでには同じ先生が口語文法の授業をやってあったんでした。新中一が古文を先取りするって話もないですよね? やるなら英数。

ふつうは文法をことさらやらなくても話したり、書いたり読んだりできるわけですから(除く: こじろう)、口語文法はほんとにさらっとでいいんですけど、比較するための土台として必要ですね。

「みれば」を確定条件の意味で使うことって、そういわれてみるとあるような気もするんですが、それはレトロな雰囲気を漂わせようとしているのかなとも思います。いずれにせよ、訳読として「仮定条件」のところを「みれば」と訳すと、わかってるアピールができないからダメなんですけど。「つつ」は文語ですか? うーん、線引きがわからない…
Commented by gura at 2013-03-26 22:56 x
この歌、小さいころ一番好きでした。兄弟やいとこに一番人気。いつもこれが取りたくて頑張っていました!(ふじのたかね、さんという名前でした。)大きくなってから、さねかずら好きに。庭にあったのと、全体の言葉の響きが好きでした。その後は・・・話が終わらないから・・・二首で終わります。

ノートは、小5の自主勉ノート、幼稚園のとき書いた物語?ノートや、なんと兄弟のために作った自作教材ノートもあります。そんな小さいときから教材好きだったんだなあとびっくり。

でも百人一首ノートが見つからない・・・。あんまり勉強しなかったんだなあ。きれいなままの百人一首の教材が出てきました・・・。子供にあげようっと。

そうそう、縦書きノートがついに発売になっています。前から?地元中で導入されると聞きました。最近、百均にもたまにあります。何で前からなかったのかな。小学生用なら前からあったのにな。
Commented by めも at 2013-03-27 13:22 x
「うち」は接頭語とはしないのですか?
Commented by an-dan-te at 2013-03-27 20:31
guraさん、
ふじのたかねさん、人気でしたか(^^)
わかりやすいし親しみやすい、いい歌ですよね。

ご兄弟のための自作教材ノート(o_o)
教材好きだったんですね。ほんと。

縦書きのノートは、小学生向けのなら(ジャポニカ学習帳のような)前からみかけますが、中学生以上向けはみかけませんね。でも、私はふつうの横罫ノートを縦に使うの、好きですよ。もともと縦罫だと長すぎるかなって。
Commented by an-dan-te at 2013-03-27 20:33
めもさん、
接頭語と取ってもいいと思います。むしろ私はそう思っていたのですが、私が今回のシリーズを書くのに使っているアンチョコ本(「一冊でわかる百人一首」成美堂)ではまとめて一語の動詞となっていたのでそれに合わせました。

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