「陰山英男の「校長日記」」を読んで   

これまで、もちろんのことながら「陰山メソッド」という言葉は何度も聞いたことがあったけど、あまりちゃんと関心を持ったことはない。

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どちらかというと「やなかんじ」(^^;; と思っていて、敬遠していた。たとえば、「朝ごはんを必ず食べる(これは、我が家でも必ず食べるけど)。なるべくパンでなくごはんに」なんてのを聞くと、学校の先生からそんなこと言われたら余計なお世話って思っちゃうし、極めつけは「百ます計算」。あれは、「超、やなかんじ」と思っていた。

前に、はなひめの学年じゃないけど、どういうわけか「百ます計算」が取り入れられたことがあった。でも、あんまりつまんないから、みんなどろんどろんのぐだぐだになっちゃった(笑)。夏休み、学童クラブの学習タイムにボランティアに行ったことがあるんだけど、そこで何人かの子が夏休みの宿題の「百ます計算」の束を持ってきていて、のろのろと、とても嫌そうに、おざなりに鉛筆を動かしていた。あんまりにも沈滞ムードなので「それは一日に何枚もやらないほうがいいよ」と別の課題に移るように促したことがある。

ま、そんなイメージしかなかったけど、これだけ有名だから、どんなことを考えてる人なのかなと思って、図書館で校長日記を借りてきた。

陰山氏は、山口小学校の教師としての実践がヒットして有名になったらしい。この校長日記は、尾道の小学校の校長公募で陰山氏が採用され、異動するところから始まる。

私がまず「おぉ」と思ったのは、「半年で成果を出します」的な有言実行をしたところ。教育改革みたいなことだと、何年もかかるのしょうがないじゃんという態度でもおかしくないような気がするけれど、「半年」。初年度にもみんなに一定の成果を感じてほしいし、また、それができるという自信ね。

この自信の裏づけは、「読み書き計算」効果への信頼からくるらしい。読み書き計算、そんなものどうでもいいという人はいない。算数ができるようになるにも、本が読めるようになるにも、基礎基本が大切だ。しかし、陰山先生が信じている効果は、そういうことに留まるわけではない。毎日こつこつの読み書き計算を積み重ねることによって、子どもたちが生き生きしてきて、集中力が増し、ほかの授業もスムーズに進むようになったり、なぜかもっと難しい課題も解けるようになったりするということだ。

この、「子どもたちが生き生きしてきて、集中力が増し、」のところを、陰山氏は「脳の活性化」云々といっていて、まぁそれはもしかしたらそうなのかもしれないけど、あんまり「見てもいないのに」そういう表現を使うと、似非科学とおともだちになりやすいからやめたほうがいいと思う。まぁそれはともかくとして。

「『ゆとり』というものは、教育の理念として掲げるものではない」とも言っている。教育においては、まず子どもたちには徹底的に基礎基本を身につけさせる。その過程では追い詰められたり、なかなかうまくいかなかったりすることもあるかもしれないが、それを乗り越えたときに、子どもたちは限りない多様な伸びを見せる。「ゆとり」を自分たち自身でつかみ取るのだ、と。

そう読んでくると、毎日ノートで計算漢字語句徹底派の私とひょっとしたら気が合う人なのかも、とも思えてくる。というか、学校丸ごとそれを軌道に乗せようってのは壮大な話で、それでみんなを納得させちゃった陰山氏はほんとうにすごい。それに比べれば、自分ちの子どもひとりに、毎日「計算漢字語句」を定着させるなんぞは小さな話じゃないですか(でもそれが難しかったりするんだけど…)。

でも、あのだらんだらんの百ますはいったい何だったんでしょうね。たぶん実践に誤りがあったんだろうけど。とにかく、鉛筆をただ握ってればいいというものではなくて、「生き生きと」してこないことには意味がないんだから。そう、毎日、計算一行題するときには、もっと速く、もっと正確に、という方向で集中力が高まってくるような取り組みができないと効果が上がらないってわけで。同じだけの課題をこなしても、だらんだらんの百ますと、尾道の小学校の百ますは別物であるのと同じように。

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by an-dan-te | 2013-03-20 09:02 | 中学受験 | Comments(12)

Commented by ocarina at 2013-03-20 11:23 x
要はやり方(やらせ方)なのでしょうね。

うちの娘も確か小1の後半頃~小2にかけて、学校の宿題で100マス計算のプリントやってました。

ストップウォッチを用意して(ストップウォッチのないご家庭は秒針のある時計を用意して)
測定しながらやっていたので『ダラダラ感』はなかったです。

いちおう「○分○秒以内に終了し、誤答数○問以内で できるようになる」といった最終目標があって、
毎日1枚ずつ(だったと思う)配られるプリントを宿題としてやったのですが、

毎日1枚こっきりなので負担に感じないし、
『かかった時間=○分○秒、間違えた問題=○個』というように計測して記録していると
だんだん速く&間違いが少なくなってくるのが数字で実感できるので励みになるし、

元々が遅かった子(←ウチの子)は「伸び方」がスゴイことになったりもするので、
割と楽しんでやれて、悪くなかったと思っています。
Commented by ぽん at 2013-03-20 11:57 x
お邪魔します。
ずっと拝見していて、「毎日ノート」をコツコツ積み上げるやり方など、てっきり陰山さんなど家庭学習推進派の人たちのやり方を肯定しているのだとばかり思っていました。

うちの場合、100マスは旦那(かなり変人)が自分で始めて、子どもにやらせた時には毎日会社で昼休みに100マスをやり、タイムを自慢して子どもに挑戦。
陰山さんが別の本で語っている、正しい100マスの進め方マニュアルみたいに子どもと家族みんなで競い合う。
とか、昨日の自分と競争する。
を地で行って、かなりいい感じで進められました。
受験の朝も100マスやってから出発。みたいに。
だらんだらん100マスみたいな使用方法の間違い。ということも陰山さんの書いた本で指摘されていますよね。
要は、短時間で計算する習慣をつける。負担なく、でも、毎日単純計算を繰り返すことで四則演算を定着させる。という反復練習ですよね。
上手に使えば効率的で、素人でも親子ともに負担なく基礎計算力(本当の基礎の基礎ですが)をつけられると思います。

そうだ、公文式をやっている人には必要がないポイントかもしれませんが。
Commented by toffee stars at 2013-03-20 15:58 x
うちは陰山式は子供が受け付けませんでした。
ドリルとか何冊か買ったけれど、どれもやっても数行。
特に漢字のドリルは、どんなに時期をかえて差し出しても拒否されましたっけ。
学校でお友達と競争してやる雰囲気だったら、うまく「ノル」かもしれませんが、家庭学習向けの教材としては、子供によって好き/嫌いがはっきり分かれるのかも。
Commented by an-dan-te at 2013-03-20 21:04
ocarinaさん、
やり方でぜんぜん違ったものになると思います。私が見たのは「死んでる」100ます計算で、ありていにいって、生き生きしてない100ますは、最悪です。

一日一枚にするのと、時間を計るのと、どちらも守られてなかったから大間違いですよね。その子は、学習タイム用に、100ますプリントの束しか持ってきておらず、宿題だから埋めろ的にしか考えてなかったみたいなので。

> 元々が遅かった子(←ウチの子)は「伸び方」がスゴイことになったりもするので、
昨日の自分に勝つということですね(^^)
Commented by an-dan-te at 2013-03-20 21:11
ぽんさん、
あぁ、陰山さんの話は、「朝はごはんで」とか聞いたとたんアレルギーで(いや、ごはんは好きですけどね。そういうことを先生から押し付けられる構図にアレルギー)。

競争するのはいいかもしれないですね。というか、もともと、教室でみんなでやるからこそのスタイルだったのかも。

計算練習は、より速く、より正確に、そして毎日。ということが重要なので、それがうまく軌道に乗るやり方が正しいのでしょう。

公文も同趣旨ですね。はなひめにはあんまり合わなかった…というか、最初はよかったけど、分数あたりの壁を越えられず、中学受験用教材のほうが相性よかったです。

100ますも、公文も、やり方の良し悪しでまったく別物になるし、相性もすごくあるように思います。
Commented by an-dan-te at 2013-03-20 21:15
toffee starsさん、
合う合わないはあるのが当たり前だと思いますけど、陰山さんのすごいところは、それを公立小という拒否権も選択もないところで全員に適用して成果を出したところですよね。みんなでやるところが実はポイントというか、陰山式は「クラスで」やるのにマッチしているのかな。
Commented by gura at 2013-03-21 00:55 x
本をいくつか読んだことがあります。何でも読んでみて、気に入った、出来そうなところだけをまねします。本格的な実践は出来ないので、効果はどうかわかりませんが。

勉強を始めるとき、いきなり難解なことをせず、単純な計算、漢字から始めれば、勉強態勢が整っていいなと思いました。

開拓者や、物事を広める人には賛否両論あると思います。そこがたたき台になって、色んな意見が出て、議論、試行錯誤されて、よい方向に向かっていくのがいいなあと思いました。確か、それについても書かれていたような。

何事もきちんと実践できたらいいんですが。私も感覚的、直感的なところがあります。じゃあ、あのデータちょっと好きはなんでなの?って言われます(^-^;)
Commented at 2013-03-21 01:13 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by an-dan-te at 2013-03-21 20:11
guraさん、
そうですね、勉強の態勢自体も整いますし、あと、基礎をすらすらにしておくと、なぜだか応用もできるという部分が大きいと思います。校長日記の中で、六年生(中学受験用の勉強はしてない)に修道中の入試算数を解かせる実験をしていますが、なかなか興味深いです。

百ますでなきゃいけないとは陰山さんはいってませんが、漢字と計算から行くことに意味があるとは思っているようですね。

guraさんは、感覚的、直感的のデータ好き? だったら私とおそろいですね(笑)
Commented by an-dan-te at 2013-03-21 20:14
***(2013-03-21 01:13)さん、
そんな質問をしてみたのですね!! されたほうもびっくりしたでしょうね(^^;;

ニュートレジャーは教科書ガイドみたいな安直なものが売ってないんですよね。でも、CDがあったり、問題集があったり、けっこういろいろしっかり体系的に揃っているみたいですよ(こじろうは活用できてなかったけど…)。せっかくだからやっぱり学校に沿って進めて、それでどうしようもないときに別の手を考えればいいんじゃないでしょうか。最初から別のやり方を混ぜると、うまくいくものもいかなくなる場合があります(時間も足りなくなるし…)。
Commented by ちひろ at 2013-03-27 16:08 x
公立の小学校で、クラス全体に対して読み書き計算を徹底させたことは意義深いなあと思っています。
100マス計算に代表されるように、陰山メソッドのテクニックだけが注目され、そして本来の目的を抜きに小手先の方法論だけが批判され、ご本人も歯がゆい思いをしているようです。
かくいう私も陰山メソッドを評価しつつも、家庭だけでやるのは、よほど親の導きがうまくないと限界があるなあと痛感、「基礎を徹底的に」「力がつきそうだからと難問をいきなり与えるのではなく、子どもがスラスラできるレベルから始める」といった考え方だけを参考にしている感じです。
ところで陰山先生の東大に進学されたお嬢さんには、中学受験をさせたそうですね。
それも「公立中に進学する」ことを前提に、中学受験の勉強をすることだけを目的に。
ご本人にその辺りのことももっと詳しく語っていただきたいなあと思っています。
Commented by an-dan-te at 2013-03-27 20:42
ちひろさん、
公立の小学校で、全体の読み書き能力を底上げしていくって、ものすごいことだと思います。
> ご本人も歯がゆい思いをしているようです。
そうでしょうね…

コメントでいただいた中にも、おうちで陰山方式を取り入れている方がありましたが、あまり単純には真似しにくいような気がしますね。でも、基礎重視とか、生活リズムを整えるとかで考えれば、けっこう幅広いです。
> それも「公立中に進学する」ことを前提に、中学受験の勉強をすることだけを目的に。
そうなんですか!?
私も、中学受験のメリットの大きなひとつは、この時期にこういう勉強をすることだと思ってますが、せっかくだから私立行きたくなっちゃいますよね~

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