空気の教育、六年間   

中学・高校と学校に通って得たものを振り返ってみると…

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まず、気の合う・ノリの合う友人たちに出会って、話をしたり本を読んだり、いろんな影響を受ける中で自分というものを確立していったこと。

中学三年のときの国語の授業で、百人一首を題材に古文の文法を習ったときに、文法というもののおもしろさに目覚めて、それが結局その後の飯の種の中核になったこと。

それまでほとんど馴染みのなかった、宗教の雰囲気にじんわりと曝露されているうちに、適度の免疫を得たこと(^^;;

自分の頭で考えて、発言・行動・選択すること。世間がどう言ったかではなく、自分がどうしたいかにまっすぐ向き合うこと。

などなど。結局のところ、自分が子どもから大人になる途中の、芯の部分を形成する時期にどっぷりと浸っているわけだから、その影響の大きさは計り知れません。でも、どんな授業をしたかということは(少数の例外を除いて)ほとんど記憶にないし、わりとどうでもいいことのように感じます。

今の「まじめな」私学であれば、六年間のシラバスというものを作っているところも多いです。もちろん、先生個人のきまぐれに左右されず、学校にいる六年間を生かして、教科内容をきちんと教えていこうという姿勢は正しいでしょう。授業がいい加減なのより、まともなほうがいいに決まっているので、教育内容を明確化しておくのはよいことだと思います。

ただ、たとえばその学校のシラバスを見て、あるいは入り口偏差値と大学合格実績を見て、それでその学校が提供するサービス内容を理解したような気になり、それがどのくらい「お得」かを判断し、「購入」するかどうかを検討しようとしたら、ずいぶん見当ハズレなことになります。

それは、学校で受ける教育の価値のほとんどが、その教育課程が終わったときに初めて明らかになるからです。入ったときの私と、出たときの私は違う。その違いが、教育なのだし、それはその学校の空気に支えられているものなのです。もっといえば、その空気をどう呼吸して、暮らして、自分のものとして取り込みつつ、逆に周囲にも一人分の影響を与えていくのか、それはその人それぞれまったく違うのであって、ある学校の教育効果は、どんな意味でも一律なものにはなりません。

学校に対して、商品を購入する消費者のような気持ちでいたら、一番大切なものはこぼれ落ちていってしまうでしょう。

学校を選ぶときには、数学の教科書に何を使っているとか、そういうことだけではなくて、いや、そういうことよりも、その学校の空気が、自分のお子さんが呼吸するのに適しているかどうかを感じてください。英語の教科書が、プログレスなのか、バードランドなのか、そんなことより、それを決めたり運用している先生方がどんな想いで課程を組み立て、どんな雰囲気を醸し出しているかのほうが重要です。また、その空気を吸った生徒さん方が、自分の周りにどんな空気を形成しているか…

そういうことを、自分のこれまでの人生経験を賭けて全力で感じ取り、六年後、数十年後のお子さんを心に描きながら、どのくらい希望が持てるか、どのくらい違和感がないかを考えてみてください。偏差値はどうでもいいということではないですが、単なる目安です。同じくらいの偏差値でも、空気がまるで違う学校はいくらでもあります。お子さんにどこが似合うかです。

明確に「似合わない」という学校はどうしてもありますが、「似合う」はそんなに狭く考える必要はありません。そもそも、入ってみなければわからない部分も多いと思います。可能な限り「似合う」学校を選ぶということです。入学したあとは、お子さん自身もその学校の空気の一部を作っていくわけですから、気持ちがきちんと学校に向いていさえすれば、ある程度「温度差」があっても自分の周りには居心地のよい空間を作っていけると思います。

そういう意味では、お子さんがその学校への入学をどのくらい喜んでいるか、納得しているかが、その学校から受け取る教育の価値を大きく左右します。私が「熱望の無理でない第一志望校+お気に入りかつ安全の第二志望校」の組み合わせにこだわるのはそういう趣旨も含まれています。

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by an-dan-te | 2013-03-07 12:50 | 中学受験 | Comments(10)

Commented by gura at 2013-03-07 14:23 x
空気かあ。中高の六年は長いし、親よりも、友達や先輩、先生の影響を受けやすいですね。

自分がいかに、沢山の中の一人であるかって所にも目がいきますね。

高校生になり、周りがあまりにも似たもの同士で戸惑ったことがあります。それまでは人の世話を焼くほうだったのに、お世話をしてくれる人が沢山いたので、甘えていいの・・・?って。

それまでのグループの中での立ち位置が、変わった気がしました。すごく楽でしたが、楽しすぎたな、と反省もしています。

子供の学校選びは、雰囲気ぴったりのところを探しましたが、プラス、こういう風に影響を受けて欲しいな、というところもよく見ました。

教材も全教科揃うと、学校が何を大事にしているかよくわかりますね。試験問題を見たときと同じ印象でした。

ところで、新入生の登校日に行ったら、学校見学のときより、入試の日より、もっと親が、似た雰囲気でした・・・。みんなのあつい期待で、私の背中が焼けそうでした!前列に座ってしまったからかな・・・。
Commented by ハット at 2013-03-07 21:06 x
おっしゃる通りですね。ぐっと心に響きました。
子供たちそれぞれの素敵なところを数値化できないことと同じですね。
Commented by blue at 2013-03-08 07:59 x
はなひめちゃんの合格本当におめでとうございます!
すっかり出遅れておりますが、同窓のblueと申します。

思春期の6年間の空気大切ですよね~。
自分の根幹になっていると思いますし、自分の帰る場所のような気がします。

そんな心の拠り所となる学校を新6年の息子のために探していますが、まだまだ模索中。
感性をフル稼働させて頑張ります!
Commented by セロリ at 2013-03-08 09:20 x
アンダンテさま。

確かにあの学校では、空気を食べて大きくなった気がしています。
友だちが吐きだすいろんな色の「空気」しかり。
先生が吐きだすちょっと毒気もある「空気」しかり。
先日、N研の室長先生が「さいしょに○○学園をお子さんに見せないでください。
演出がうまいので、お子さんが「ぜったいココに入りたい!」と言いだすんです」って言ってました。

そうなるとますます、学校案内には書いてない本当の空気感を感じることができるように五感をはたらかせて学校選びをしなくちゃ、
と思います。


ますます、
Commented by いか at 2013-03-08 18:49 x
今回の記事もぜひ書籍化の際には取り上げてほしいなぁと思いました。ついでに!?、これまで何度となく語られた、お似合いの学校選びという題材をまとめていただけたらうれしいなぁ、なんて勝手なこと考えてしまいました~学校選びで迷う家庭には、すっごく参考になるかとおもいました。
その際には、ぜひ今回記事の最後から2番目のパラグラフのあたり、入れてください!!
お似合いの学校探しが、青い鳥探しにならないための心得!?のように感じたからです~
青い鳥は、真っ青でなくても 概ね青っぽければ、きっといつの間にか馴染めるのかも知れませんよね~
親子共々、その学校のどんなところに共感できて、どんなところには違和感を抱くか、というような価値観を共有できるだけでも中受のひとつの成果になりそうですよね。
Commented by an-dan-te at 2013-03-09 10:36
guraさん、
そうですよね~、中学生以上になると、タテの影響よりヨコの影響。親のいったとおりになるってことはない(^^;;

> 高校生になり、周りがあまりにも似たもの同士で戸惑ったことがあります。
それまでとのギャップが大きいですもんね。でも、たとえば私が公立中から私立中に転向したときに思ったんですが、人間が均一ということはありえないもので、似た集団を取り出してみるとその中での違いが際立ってくるというか、そんなこともあるのでは?

> プラス、こういう風に影響を受けて欲しいな、というところもよく見ました。
そうですね~

> 新入生の登校日に行ったら、学校見学のときより、入試の日より、もっと親が、似た雰囲気でした・・・。
そりゃ、その学校の方針に従って出題された入試で選抜されたんだからそういうことになりますね(^^;;
Commented by an-dan-te at 2013-03-09 10:39
ハットさん、
なんかインターエデュとか見てると「損得」とやらが前面に出てる話が多くて(^^;; 違和感があるんですよ。公立中からでも結局同じ大学に行けるとしたらナニ!? って。
Commented by an-dan-te at 2013-03-09 10:41
blueさん、
そうですよね!! 自分が帰る場所。原点。
こじろうもまたろうもそういう場所を得たようですし…

はなひめもそうなるといいな~
Commented by an-dan-te at 2013-03-09 10:44
セロリさん、
> 先生が吐きだすちょっと毒気もある「空気」しかり。
はは(^^;;

演出のうまい学校ですか。そう、行くのは子どもだから子どもの意思を尊重したいけれど、今の子どもがいいといえばいいのではなくて、ちょっとした成り行きや表面上のことにミスリードされないように、ほんとうの本人の意思を推し量る必要もありますからね…
Commented by an-dan-te at 2013-03-09 10:48
いかさん、
「似合う」学校を選ぶことは中学受験の肝だと思ってますので、もちろんなんかの形でいれます(^^)

似合わない学校に入ってもしょうがないけど、完璧を求めると青い鳥になっちゃいます。学校は、出来上がって不動のものではなくて、自分によって受け取れるものが変わるわけですからそこを忘れちゃいけないですよね。

親子であんまり感じ方が違うと難しいかもしれないですけど。でもそういう親子もなんとか解を見つけていくんじゃないですか? 利害が対立するわけじゃないですからね。

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