脳科学の知見は受験勉強の役に立つか?   

こないだの話に出てきたヴァーノン博士の研究とやらは、残念ながらエセ科学の部類だったようだけど…

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別に、勉強のノウハウとして、間違ってるってわけではない。

ところで、「本物の(^^;;」脳科学の知見は、実際の受験勉強の役に立つようなところへ来てるんだろうか?? ということを知りたくなって、こんな本を読んでみた。

「記憶力を強くする」(池谷裕二著、講談社ブルーバックス)

これは、一般向けに平易に書かれたものであるし(なにしろブルーバックス)、しかもちょっと古い(10年くらい前)んだけれども、非常によくまとまっていて、中身はけっこうしっかりしてるし、私と同様、なんの予備知識もない人が読むにはお奨め(^-^)

ここに書かれている脳の仕組みについてここにくだくだしく紹介するような野暮な真似はしませんが(興味のある方は直接読んでね)。「脳科学」として「わかる」ということって、

・ミクロな研究…細胞の形とか、その内外で起こる化学的現象。それこそ特殊な顕微鏡を使って撮影したとかそんな話。
・マクロな研究…脳の構造とか、一部が病気や外傷によりダメージを受けた人の事例からわかる話。
・人間のモデルとしての動物を使う実験…ネズミとかに学習させて調べる。人間よりシンプルにコントロールした実験が組めるから、いろんなことがわかる。
・人間を使う実験…いわゆる「古典的」なエビングハウスの忘却曲線みたいに、直接人間で試す。

と、いろいろなレベルがあるでしょ。一般人として興味が特にあるのは最後の「人間でどうなるか」っていうところだけれども、これは説得力のある実験をするのは何かと難しくって、なにしろ人間って人によってさまざまな経験や能力や意思を持っているし、記憶に関する実験の外乱になるようなことはごちゃまんとある。それに、安全とはいえない何かを試すこともできないしね。だから、現時点で確信を持っていえることというのは、やはり最初三つのもろもろになることが多いわけです。

でも、それに関してだったらずいぶんたくさんのことがわかっている。たとえば、側頭葉で処理された情報は海馬に流れ込んできて、記憶として蓄えられるけれど、その記憶の賞味期限はせいぜい長くて一ヶ月。海馬では、重要なもの/そうでないものが仕分けされ、重要と判別されたものに限って側頭葉に送り返され、長期的な保存がされるといった具合。

じゃ、どういうものが「重要」と判別されるのかって話だけど、
・強い興味とワクワク感を持って集中しているとき(海馬がシータ波を出すとき)
・いつ、どこで、何を見て、何を聞き、何を感じたかを合わせてしっかり「経験」したとき(エピソード記憶の形成)
・いくつかの面から関連づけられているもの(閾値に達しない程度の弱い信号でも「連合」するとシナプス可塑性が起こる)
・繰り返されたとき(海馬に記憶が残っている間に同じことがあると強化される)
など。

あと、覚えたその日にしっかり睡眠を取ると定着しやすいとか、記憶を妨げるものとしてストレスや過度の飲酒があるとか(小学生は飲まないから関係ないわネ)。

まぁぶっちゃけ、「やっぱりそうだったんだ」という感じであんまり意外なものはないともいえる。

強い興味を持って学び、できることなら生の体験をし、よく関連付けて理解し、人に説明するとかも◎。
忘れきってしまわないうちにすかさず復習すると吉。
徹夜で勉強するとかの一夜漬けをしても、翌日の試験はともかく結局定着しない。
いやいややらされるとか、ストレスにさらされるとかしてやるのは勉強効率が悪い。

そりゃそうだよね。そんなこと知ってる、って感じでしょ。ただ、それがミクロの世界とどうリンクしてるのかって話は、私としては感動だったし、やっぱりそうだよねっていう、納得とか確信というのは、持っていて悪くないと思うけれど。

だから、この本は、純粋に趣味の世界として、お奨め。勉強方法という意味でいえば、こんな本じゃなくて、エセ科学の(といって悪ければ、経験から書かれた)本でも実はあんまり問題はない。

夢の、記憶増強薬の話も載ってて、おもしろいよ。あと、加齢により記憶力が減退すると一般に思われているけど、それの実態が何であるかと、その対策が興味深かった。中学受験の話から外れるので、書くとしたら本館のほうで書きます。

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by an-dan-te | 2012-01-05 18:20 | 中学受験 | Comments(0)

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