科学マインドの育て方   

「えせ科学と小学校教育」という記事を書いたら、りり母さんからいただいたコメントで、総合学習として行われた「植物声かけ実験(?)」というのがありました。

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--- りり母さんより
総合授業でこの水の話を実践しましたよ。f^_^;)
結晶ではなく、植物にアレンジしてまして。
なんかの植物を栽培したんですが、
「たくさんお水飲んで大きくなってね。」
と声かけして水やりする班と無言で水やりする班に分かれて栽培しました。
【無言班】の息子たちは水やりそっちのけで遊んで見事に枯らしてしまいました(笑)
「ほらね!」と先生はおっしゃったのですが、
「それは僕らがサボったからなんだけど、わざわざ怒られるのもなんねぇ。」
と言うことで息子たちはだんまりを決め込んだそうです。
他の無言班は普通に育っていたんだけど、先生、そこはスルー。
---

いや~おもしろいですね。おもしろいと言っていいかどうかわかりませんが、息子さんはこの授業からいろいろなことを学んだのではないでしょうか。
・水やりをサボると植物が枯れる。
・ほしい結論を導かないデータは捨てられる。
・偽りの手がかりから結論が導かれる過程。
などなど。

これを一歩進めると、ほんとうにおもしろい実験ができそうです。ちょっと思いついたら心のツボにはまって、どうしても誰かに言いたくなってしまったもので、今日の記事は、題して「科学マインドを育てる総合学習」。

クラスを2チームに分けて、同じ植物を使って実験。
Aチームのミッションは、「声かけをすると植物がよく育つ」ことを証明すること。
Bチームのミッションは、「声かけをしても植物の育ち方は変わらない」ことを証明すること。
それぞれの子どもが、自分の信じるところに沿ってチームに入れるといいですね。

まず、それぞれのミッションのために、どう実験すればよいかについて話し合いさせます。
ここで、「声かけをする/しない」以外の条件を変えずに、育ち方を比べる必要があることを認識させます。

そして、それぞれのチームで実際に「声かけをする植物」「しない植物」を育てて比較を行うわけですが、その際、どういう世話をしたかを詳しく記録するとともに、相手チームの実験の進め方などもよく観察するようにさせます。

…結果として、Aチームは「声かけをするとよく育つ」という結論になり、Bチームは「声かけをしても育ち方は変わらない」という結論になるなんてことはありがちなことです。そうなったらしめたものです。

それぞれの実験方法や、データの取り方やまとめ方を詳しく見ていき、何から結論の違いが生まれたかを考えます。

・水のやり方、日の当て方(植木鉢の並べ方など)、土の耕し方整え方などに差はなかったか。
・「よく育った」かどうかは何をどうやって測定して比べているか。
・棄却されたデータはどんなものだったか。正当な理由で棄却されたか。
・どのくらいの差をもって「違いがある」と判定したか。
などなど。

どういう部分をいじると、恣意的な結果を出すことができるのかということや、あるいは実験中の、でっちあげとはいわないまでもえこひいきをしてしまいたくなる自分の心の動きとか、実際にやっちまったコトとか(^^;;、あと発展させれば、統計的有意差という話にも結びつくかも!!

ほんとは、でっちあげ(またはちょっとした手ごころ)の痕跡が、できあがったレポートのどこいらへんに表れているかというようなことまでわかったらもっとおもしろいと思います。

あ、それで、どっちも結局同じ結論になったときは、ミッションに沿った結論を出せなかったチームに、「キミたちは研究所の職員で、上司からどうしても、声かけで植物が成長するというデータを出せといわれている。どうしたら一番自然に、求められる結論を出せるか考えなさい」ってプレッシャーをかけてもいいし(鬼)。

小学校向けの題材としては、難しすぎるかな…

中学校以降の題材だったら、こういう体験をしたあとに、健康食品(あるいは、もどき)の、「こんなに効果があった!!」的なチラシやパンフレットを集めてきて、どのあたりが怪しそうかというような話し合いをするのもいいかもね。

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by an-dan-te | 2011-11-28 20:44 | 中学受験 | Comments(8)

Commented by モンサヴォン at 2011-11-28 23:01 x
いいですね~、これ。
*「よく育った」かどうかは何をどうやって測定して比べているか。は、主観と客観を分けて科学的見方を養うトレーニングになるし、
*どのくらいの差をもって「違いがある」と判定したか。の意識は、小学生のうちから是非育てたい。

個人的には、「上司からどうしても、声かけで植物が成長するというデータを出せ」の下りがウケポイントでした*^^*
Commented by りり母 at 2011-11-29 09:07 x
このトレーニングは大学でレポートや論文を書く時や社会人になって上司好みの仕事を仕上げる上で、
多かれ少なかれ役に立つ技量ですよね?(笑)
アンダンテさん、さすがですね。鋭いな〜。
私のつまんない思い出話をこんなオイシイものに料理してくださって!

ちなみに、息子たちは他の班から株分けしてもらおうかとも話し合ったそうですが、
「俺らの班は枯れた方がいいんじゃね?」
と冴えた意見がやはり出まして、
先のコメントのいきさつとなりました。(>_<)
Commented by くるみ at 2011-11-29 09:28 x
>証明すること。
いいですね~。受身じゃない授業って感じで。
こう問いかけると、バカバカしいと思っている大人びた子もやる気になりますよね?^^;
これなら良い勉強になります。さすが、アンダンテさん。

水の話を中学生の息子にしてみたところ、「絶対にありえない!」の一言で終わってしまいました。ゲーム脳も、「あれ、嘘でしょ?」と。
ついこの間までは小学生だったんですけどね~。
小学校の先生から聞いてたはずなんですけどね~。
いきなり変わるこの変化は何なのか?
中学生と小学生の兄弟がいる家では、どういう議論がなされているのか興味が出てきました^^
息子に「嘘だと思うなら、証明してみて!」と言おうっかな^^;
Commented by チェシャ猫 at 2011-11-29 21:54 x
小学生には難しいかもしれませんが、すごく良い実験ですよね~。
それこそ、これから世の中を生きていくうえで、重要な要素満載だと思います。

得てして人は、自分が欲しいデータのみ選択する傾向にありますしね。
そういうのを客観的に見るいい機会になりそう。

中学生くらいの授業で取り入れてほしいものです~(^◇^)
Commented by an-dan-te at 2011-11-29 22:36
モンサヴォンさんならきっと気に入ってくださると思ってました~
上司から…のくだりは、ほら「動物のお医者さん」で、ミル○○を飲むと体にいいというデータを出せ~といわれているシーンが頭に浮かんで…
Commented by an-dan-te at 2011-11-29 22:37
りり母さん、
もーすごくだいじですよ!!
仕事をするためにも、変なものにハマらないためにも大事。

> 「俺らの班は枯れた方がいいんじゃね?」
> と冴えた意見がやはり出まして、
冴えてる!! センスいいわ、その子(^^)
Commented by an-dan-te at 2011-11-29 22:40
くるみさん、
いろんな「話」から十分な距離をとって、批判的に眺めるっていう力はやっぱり、中学生になってから急速についてくるものなのかしら。

小学生時代のこじろうなんて、いろんな意味で箸にも棒にもかからなかったけど、今はこういう話をするとなかなかポイントを突いた反応が返ってきておもしろいです。はなひめが中学生になったときどんな話ができるかなと思うとちょっと楽しみ。
Commented by an-dan-te at 2011-11-29 23:13
チェシャ猫さん、
ウソ論文やウソ広告を見抜く目は絶対必要ですよね~中学生なら十分そんな授業できそうだけどね。

私、ふと思いついて、またろう(当時中三?)に某塾のチラシを見せて、「実際の実績より、チラシを見た人の印象がよくなるようにどのような工夫がされているでしょうか?」という問題を出したんだけど、ぜんぜんポイントがつかめてなくてこりゃやばいと思いました。

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